弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

米窪明美「明治宮殿のさんざめき」

「みやび」と「モダン」が無理なく同居する明治宮殿の十二ヶ月を、テクニカラー映画のごとく豪華絢爛「宮廷絵巻」として描き、天皇皇后から女官たちまでひとりひとりの息遣いを伝えてくれる。ツイッター感覚で立ったまま和歌を詠む天皇陛下。気くばり上手で…

永田和宏「もうすぐ夏至だ」、河野裕子「わたしはここよ」

伊坂幸太郎「PK」

いま朝日新聞夕刊に連載されてる「ガソリン生活」はクルマたちがいじらしくて(息子が好きな「カーズ」の世界とときどき頭の中でゴッチャになるけど)楽しく読んでるのですが、この「PK」は私の苦手な寓話系だったので残念。

石井光太「ルポ 餓死現場で生きる」、栗山さやか「なんにもないけどやってみた――プラ子のアフリカボランティア日記」

わたしは個別事件の代理人活動でむなしさ感じることってまず無くて、たとえあんまりな仕打ちにあってもその怒りを呪いパワーに変換する熱効率が高いタイプなのでへこたれることはないのだけど、個別事件じゃない活動のことはむなしく思うときがよくある。そ…

渡辺一史「北の無人駅から」

私は鉄ではないけど秘境駅とかが好きなのでその流れで買ったのですが、思いがけぬ掘り下げの深さ。すごい労作ですごいよかったです。無人駅を切り口に北海道そのもの、というか北海道に象徴される地方という存在に迫っています。この本のインパクトを伝える…

金融法務事情1941号 破産事件の概況

「札幌地方裁判所における破産事件の運用状況」 同廃としての申立から管財事件に移行させられるいわゆる「格上げ」事件が増えていることについて、「(過払金の存在、自動車ローンの所有権留保についての最判)等も若干は影響しているようにも考えられるが、…

家庭裁判月報第64巻第3号 子の調査

坂野剛崇「家庭裁判所調査官の調査の特質について 家事事件・少年事件における専門的機能の担い手として」 調査官の職務について整理するとともにその専門性を活かした適切な調査活動のあり方について検討する論考です。 家事事件手続法で子の意思の把握・考…

税務調査体験

当事務所は秋に開業10周年を迎えるのですが、その前祝いのように先日、税務署様がご来所されました。いろいろと新鮮だったので、未体験の同業者各位にはご参考になることもあるかと、見聞を残しておきます。 ・公開情報は徹底的にチェックしてきます。 事…

岸本達也「写真の裏の真実―硫黄島の暗号兵サカイタイゾーの選択」

1枚の写真にまつわる数奇な物語。ものが見えていたことの悲劇。アメリカは終戦後の日本統治のための情報収集までしてたっていうのは、当たり前のようだけど先をちゃんと見ているのだなと、このあいだ読んだ海軍反省会の本と引き比べると彼我の差を考えてし…

ケース研究310号 養育費ほか

「ケース研究 中年世代の離婚調停」 東京家裁の調停委員らによる発表。いつもの発表は各地から「うちはこんなふうです〜」という感じでおっとりした雰囲気を感じるのだけど、今回はさすがは東京家裁という感じでいつもより理論面で詰めた発表になっていたと…