弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

西岡常一,小川三夫,塩野米松「木のいのち木のこころ―天・地・人」

宮大工ものその3(読んだ順で)。「天」は西岡常一氏、「地」は小川三夫氏からの聞き書きで、「人」は小川氏の弟子たちからの聞き書き。今回は「人」がよかった! これまで、自ら語る親方像を見てきましたが、下から語る親方像によって、かなり違う見え方と…

判例時報2023号 セクハラ

・東京高裁平成20年9月10日判決 菓子店の男性店長の女性従業員に対する言動に関する菓子店経営会社への請求について、ほぼ同じような事実認定のもとで、原審は棄却、高裁で一部認容と判断が分かれました。「昨夜遊びすぎたんんじゃないの」でもセクハラ…

小林照幸「政治家やめます。―ある自民党代議士の十年間」

ちょっと古い本で、文庫化されていれば万博や空港のその後も触れられるのかなと思いましたが、文庫化されていないみたいですね。 とってもおもしろかったです。政治ものは、かけひき、根回し、腹芸の様子が興味深くてなりません。たとえば、ある項目を当初予…

塩野米松「鵤(いかるが)工舎の仕事―長泉寺建立記」

宮大工ものその2。お寺や仏像は好きな方ですが、建物をよく見たことが一度もなかったと気づきました。仕事論としても参考になります。学校のテストなら80点とれば合格かもしれませんが、依頼者のいる仕事をする以上は、常に100%を目指さなくてはなら…

家庭裁判月報第61巻第1号 家事事件概況

平成19年の抗告審での原審判取消率は、甲類9.9%、乙類24.6%とのこと。3年前にもご紹介している数字からは微減ではありますが、家裁の乙類の審判は4分の1がひっくり返るということ、くりかえしくりかえし肝に銘じたいものですし、代理人として…

塩野米松、小川三夫「棟梁―技を伝え、人を育てる」

宮大工ものその1。含蓄のある良い本でした。伝承するほどの技などありませんが、下の人の面倒を見る場面がますます増えて(思えば、登録当初から修習委員歴が長かったり、適性とはうらはらに、面倒を見させられる場面は比較的多い方でした)、若い人の成長…

文春新書編集部「昭和天皇の履歴書」

よかったです。昭和好きなら是非に、です。「日本の一番長い日」とかでも、ついなんとなくお年寄りになってからの像で読んでいたんですが、じつは終戦時は44歳という若さだったわけです。

半藤一利「幕末史」

「日本の一番長い日」でも思ったことですが、有名な歴史上の出来事でも、プロスペクティブっぽく見ていくことで、よくぞこういう展開をしたと新鮮な驚きを感じます。

亀山郁夫、佐藤優「ロシア 闇と魂の国家」

カラマーゾフを読んだのでこんなのに手を出してみたのですが、まったくわけわかんないですね! ゆいいつ、最後の方で、文学をやる意味について、文学を読み解くことは、人生の意味を読み解くためのレッスンであるみたいなことを亀山さんが言われていたのが、…

杉村芳美「「良い仕事」の思想―新しい仕事倫理のために」

「現代の法曹倫理」の冒頭で引用されていたので。そうとうな物好きじゃないと読みとおせないようなとっつきづらさがありますが、「良い仕事の10条件」は声を出して読みたいくらい。どれも良い指摘なのですが、最後の3条件が真髄だと思います。「10条件…

判例タイムズ1281号 第三者申立の子の監護事件

梶村太市「子の監護審判事件における第三者の当事者適格」 東京高裁平成20年1月30日決定に対する批判的検討です。当地はさっそく右へ倣えだったみたいですけどね・・・・・・・・

本多勝一「日本語の作文技術」

ここで書く文章は気を遣わずとっちらかってるのですが・・仕事ではちゃんとした文章を書きたいものです。古典的な本ですが役に立つものと思います。

東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会編「弁護士専門研修講座医療過誤訴訟の専門知識とノウハウ」

複数の弁護士の講義を集めたもので、同じ患者側でも手法やスタンスの違いなどかいま見えて面白いです。

判例時報2020号 テナントと借地借家法

・東京地裁平成20年6月30日判決 駅構内店舗(というかルミネ立川店。「駅構内店舗」という表現だと、ルミネのテナントで思い浮かぶイメージとちょっと乖離があるような)の賃貸借契約に借地借家法の適用を否定した裁判例です。テナント区画について「建…