弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

判例タイムズ1269号 債務の財産分与

松谷佳樹「財産分与と債務」 債務を負担させる財産分与について検討し、結論は消極です。このほか棚村政行「離婚の際の財産分与と債務の取り扱い」相原佳子「財産分与における住宅問題」

家庭裁判月報第60巻第7号 医療ネグレクト

吉田彩「医療ネグレクト事案における親権者の職務執行停止・職務代行者選任の保全処分に関する裁判例の分析」 理論面の検討と事例6件の紹介です。

平松剛「磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ」

「光の教会―安藤忠雄の現場」と似たような装丁ながら違う出版社、こちらの方が図版が多くお金をかけてもらっている感じです。CASAの丹下追悼号を脇に置いて参照しながら楽しく読めました。

判例タイムズ1268号 面接交渉の間接強制

東京高裁平成18年8月7日決定 「債務者は、債権者に対し、債権者が子らと月2回程度の面接をすることを許さなければならず、当事者は、その具体的日時、場所、方法について、事前に協議しなければならない」という主文について、給付条項性を否定し、間接…

阿部三郎「破産者 オウム真理教 管財人、12年の闘い」

普通の人が読んでもたいしておもしろくない本かもしれませんが、たまに難物の管財事件にあたる弁護士あたりが読むと、自分の苦労などとるに足りないものであるとかどんなに大変でも理念を持って力を尽くすべきであるとか色々思えるので良いと思います。

細野 祐二「公認会計士vs特捜検察」

国策捜査批判ものだけどこれはちょっと注意して読むべき。ずいぶんと脂っこい世界。すべてを真に受けるのはナイーブすぎる読み方だろうと思います。

判例時報2005号 麻酔ショック

札幌地裁平成19年9月26日判決 初掲載です(共同事件ですが)。泌尿器科手術の際の腰椎麻酔に関し、体位保持義務違反、麻酔高監視義務違反を認めたもの(新聞報道時にはなぜか体位保持義務違反しか紹介されなかったのですが)。麻酔薬注入の3分後に載石…

二弁フロンティア2008年8・9月合併号 ネット詐欺等

神田知宏「インターネット消費者被害の技術的構造と実践的予防策」 ワンクリック詐欺などについて画像付で事例の紹介があり、わかりやすいです。法的処理は当然わかっていても、実際のサイト構造まで見たことなかった。 あとは、岡芹健夫「就業規則について…

ボブ・ドローギン「カーブボール スパイと、嘘と、戦争を起こしたペテン師」

「イラク戦争はなぜ起きたのか。ブッシュ政権はニセの大量破壊兵器情報を信じた!」という本です。娯楽というだけでなく、事実認定や証拠評価のありかたについてふりかえる意味でもよい読み物でした。