弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

判例タイムズ1209号 養育費・婚費算定

岡健太郎「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」 以下メモ。 ●自営業者の総収入の認定と控除費目 自営業者の総収入の認定は、「課税される所得金額」に「社会保険料控除」以外の控除項目(「配偶者控除」「基礎控除」等)と、「青色申告特別控除額」、…

橋本紡「ひかりをすくう」

どういう人か全く知らずに、表紙が目にとまったので手にとってカバーの折り返しをみたら、「平坦な戦場をいかにして生き延びるか」がテーマの作家とあって、あー「リバーズ・エッジ」ね、ということで読んでみました。 甘い、甘いし若いなあと思いつつ読むけ…

ジュリスト1316号 破産法対談・詐害行為否認

「研究会・新破産法の基本構造と実務(17)」 以下メモ。 ・過大な代物弁済が支払不能後に行われた場合 160条2項と162条1項1号のイの重畳適用の問題となる ・160条1項1号処分対象財産の範囲 動産、債権等どこまで広げることができるか? 「…

判例時報1929号 家事調停について

飯田邦男「現代型家事調停事件の性格と家事調停の課題(中)」 紛争の解決手法として書いてあることはごもっともと思うのですが、でもどうーしても、ここで「現代型」と題する意味がわからないです。取り上げられている争いのタイプはむしろ古典的、典型的な…

チャールズ・ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」

ジョン・アーヴィング「サイダーハウス・ルール」の中で、孤児院で毎晩コパフィールドを読み聞かせていて、このときのイメージから、もっと孤児としての子供時代が長いのかと思っていたのですが、あっという間に大人になって人生を見せてくれます。 今まで読…

判例時報1928号 上告不受理慰謝料事件

・岐阜地裁平成18年1月25日判決 受任事件について上告不受理決定を受けた弁護士が、不受理決定が憲法、民訴法違反であり精神的苦痛を受けたと国に対し国賠請求した事件(請求額100万円)、と聞くとトンデモ訴訟のようですが、中身をみると気持ちはわ…

判例タイムズ1208号 確定判決の消滅時効完成後の確認の訴え

・大阪地裁平成18年1月20日判決 確定給付判決を得た債権について消滅時効完成後に再度提起された確認の訴えに確認の利益が認められないとされた事例です。 平成4年に給付訴訟で確定判決を得て、平成16年になってそれを債務名義として動産執行をした…

中村芳彦・和田仁孝「リーガル・カウンセリングの技法」

リーガル・カウンセリングというか法律相談についてです。 後書きに、多数の著者の寄稿によるものでなく一貫して構成したテキストとしてはこの分野ではじめてのもの、とありますが、たしかにそうかもしれません、よくまとまっています。 法律相談をお役目と…

判例時報1927号 家事調停について

飯田邦男「現代型家事調停事件の性格と家事調停の課題(上)」 著者は、「どちらも正当な権利や要求を主張するタイプ」など4類型を「現代型家事調停事件」と名付け、「従来型解決困難事件」と対比していますが、これら4類型は、構造的に合意が難しい事件の…

江國香織「号泣する準備はできていた」

やはりこの人はこういう不穏なかんじを書くこともできる毒のある人なんだとわかって安心した気持ちです。 「東京タワー」とかみたいに毒が感じられないと、こういうのが本当にかっこいいとステキだと思ってそう思わせたくて書いてるんだろうか??と疑問を感…

ジュリスト1315号 会社法規則特集

会社法規則の特集が凄いです。研究者の怒りが大爆発。 上村達男先生は「私はこのたびの新会社法による数々の概念破壊は、官僚が鉛筆舐め舐め由緒ある町の名前を勝手に変えた、かつての町名変更に匹敵する蛮行のように思えてならないのである。」と。