これは新聞書評で見て買ったような。癌の闘病記を年代ごとに整理して内容がどのように変化しているかや、闘病記の果たす役割(患者本人・家族・社会にとって)の分析などです。博士論文が下敷きになった教科書スタイルの本ですが、闘病記の引用や著者へのインタビューなどもあり、それほど苦はなく読めます。患者が医療の客体にすぎなかった時代から、徐々に主体になってきた経過も、闘病記の内容に反映してきていることが分かります。医療者と患者・家族が良い医療を協働して作り上げて行くために、闘病記が重要な役割を果たすという提言もあります。そういうつもりで読んだのではなかったのですが、患者の権利方面で得るものが多くありました。