弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報2413・2414合併号 DV支援措置への慰謝料

名古屋高裁平成31年1月31日判決

元妻が住民基本台帳事務における支援措置の申出を行い元夫が住民票をとれないようにして転居して面会交流を妨害したとして、元夫が元妻と県に慰謝料請求をして、一審が妻が面会交流を阻止する目的で要件なく支援措置を利用した等として妻と県に慰謝料55万円の支払いを認めていたのですが、原判決を取り消して元夫の請求を棄却した高裁判決です。暴力の事実認定が分かれている(一審は診断書がないことも触れて事実を認めず)こと、元妻の利用目的の認定、面会交流の意義の評価の差(控訴審判決は「監護親において、面会交流が子の福祉を害すると考えて、その実現を妨げる行為を行った場合、当該行為が直ちに不当なものになると認めることはできない」と)などでしょうか。