弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

女性弁護士考

・「威厳の技術」でこの部分↓が引用されていたことからの着想で、女性弁護士としての生き方についてかねて思っていることを言います。
・「君主にとっては、愛されるのと怖れられるのとどちらが望ましいであろうか。当然のことながら、ほとんどすべての君主は、両方ともを兼ねそなえているのが望ましい、と答えるにちがいない。しかし、それを現実の世界で行使していくのは実にむずかしい。できないわけではないが、たぐいまれな力量の持主であることが要求される。それで、ほとんどの場合一方を選ぶしかないとなるのだが、わたしは、愛されるよりも怖れられるほうが、君主にとって安全な選択であると言いたい。」(塩野七生マキアヴェッリ語録」新潮文庫87頁)
・「威厳の技術」は、このマキアヴェッリの言葉から、上司が威厳を備えるべきことを説き起こしています。そしてこのことは君主や上司にとってばかりでなく、弁護士にもあてはまることだと思います。弁護士として大成するには愛されるよりも怖れられることが望ましい、という前提を置くとすると、このことは、特に女性弁護士にとって課題であり壁であると思います。愛されるのと怖れられるのと、たぐいまれな力量があれば両立できるとしても、残念ながらそうでなくてどちらかを選ぶというときに、女の道としては愛されるを採ってしまいがちではないでしょうか。選んだという自覚すらなく自動的に愛され路線へ進んでいることがほとんどかもしれません。しかしそこに、その人が「お嬢さん芸」としての弁護士にとどまるかどうかの分岐点があるのだと思います。
・女性弁護士の道として、こういうことが語られるのを読んだり聞いたりしたことがないですが、前々から思っていたことをおそるおそる言ってみました。誰かを貶すとかの意図ではなく、むしろエールを贈る的な意図と思っていただきたく。