読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

判例タイムズ1432号 面会交流、医療訴訟、離婚

雑誌

・「間接強制可能な面会交流審判の実情と留意点」

どのような場合にすべきか、どのように決めるべきか。

・「医療訴訟における要件事実の整理に向けての検討」

・東京高裁平成28年5月25日判決

妻が夫の暴言暴力を理由に別居して求めた離婚請求について、婚姻期間約10年に対し約3年半の別居期間が短いとして棄却した原判決を破棄し、控訴審時点で約4年10ヶ月の別居は長く、夫の婚姻関係修復意思が疑問として認容した高裁判決です。原判決は青い鳥風味を感じます。

ケース研究328号 破産と財産分与、認知症、子の心理、子の引渡、面会交流支援

雑誌

「家事審判手続と破産手続の開始 財産分与を例に」

「時代の中で変革が進む認知症の人のとらえ方、生き方、支え方~超高齢社会の課題と希望」

「夫婦の紛争下における子の心身・言動について 児童精神医学の観点から」

「子の引渡しを求める審判前の保全事件における保全の必要性について」

「札幌おやこ面会交流の会の面会交流支援の実情と課題」

判例時報2315号 医療訴訟

雑誌

「カンファレンス尋問 複数専門家による口頭での知見提供の新しい方法」

カンファレンス鑑定とどう違うのかがいまいちピンとこなかったんですが。鑑定書で「特に定まった見解はない」と書かれていたがカンファレンス鑑定の場で、それは当たり前すぎて文献に書いていないという意味であることが判明した、書面鑑定だけでは誤った心証をとってしまう可能性があった、というくだりをピックアップしておきたいところ。裁判所の事前準備と弁護士の理解が求められること。

村上春樹「騎士団長殺し」

単行本

ライトノベルかと思うような上っつらな人物像や舞台装置のこっぱずかしさを我慢しながら読んでいくと最終的には言わんとすることの核はわかるしそうだねって思うけど、読ませるための仕掛けをこんなにもちりばめなきゃだめなのかなあって思ってしまう。

でもそんなこと言うと、保坂だってあれは小説といっていいのか、自己言及や諧謔、韜晦をまじえず小説然としては書けないってことじゃないか、どうなのか。

そういう意味では、後段、免色氏をドストエフスキーに出てくる人物になぞらえるあたりは、自己ツッコミとして機能していて、ドストエフスキーを持ち出すことによって、上っつらに見える人物造形もあえてやってることと分かるようになってることと、この分かる人には分かるメタファーっぷりがいかにも心憎い。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

藤沢数希「損する結婚儲かる離婚」

単行本

まあありていに言えばそういうことよね、ということが書いてある本です。当事者向け。弁護士は綺麗事しか言わないからこういうことを言ってくれないってあるけど、私はこれくらいはけっこう言いますけどね…。

普通の人は○○と誤解しているがこうだ、という箇所がいくつかあって、実際、当事者がよく「結婚って○○なはずじゃないですか」と当然のように述べる結婚観って、いや、民法上の結婚ってそういう制度じゃないけど…ってことも多いわけですが(そんなこといちいち言いませんが)、そういう誤解ってどこから生まれてるのか謎です。

損する結婚 儲かる離婚 (新潮新書)

小島信夫「靴の話/眼 小島信夫家族小説集」

単行本

保坂と庄野潤三と島尾敏雄が読めっていうのでとうとう読んでみた小島信夫のよさがまったくもって分からない我が身の悲しさよ。

視野狭窄的な文体が神林っぽい。「この世に2、3人しかいないと思ってるんじゃないの?」と妻に言われる場面なんて、ほんとそうだよと思うけど、こういうツッコミを自分で書けているということは、この視野狭窄さも自覚的な、あえての文体なんだとはわかる。それはわかるけど、どうしてもフツウの昔のブンガクって感じしかしなくて、保坂や庄野や島尾があんなに言うのによさがわからなくって、私ってつまんない女なんだわ(>_<)。

靴の話/眼 小島信夫家族小説集 (講談社文芸文庫)

江國香織「なかなか暮れない夏の夕暮れ」

単行本

何が起きるわけでもない日常の描写ですが(大竹氏の身の上には大変なことが起きますが扱いは気の毒なほど脇筋)、妙におもしろい。これ、好きです。USキッズランドなんていう読書向きでない空間で立ったり座ったりしながらこれを読んでると、読書中毒の稔氏とご同類としか言いようがなく! 

なかなか暮れない夏の夕暮れ