弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

論究ジュリスト28号 民事訴訟利用者調査

「特別座談会2016年民事訴訟利用者調査の分析」

・原告の本人訴訟「自分だけでもできると思った」62.5%で10ポイント以上増。アクセスの問題は解消しつつあり自分の思いどおりに裁判を進めたいというこだわり背景? 本人訴訟への後見的な訴訟運営の是非。

・自然人被告の本人訴訟は情報、お金の回答増でアクセス障害払拭されていない。

・裁判前の躊躇意識の割合が増加。躊躇→見合わせではなく現に訴訟に進んだ層が増えたという分析?

・依頼者が淡泊化、濃い依頼者が減った?

・女性の方が裁判制度を評価していない傾向。

・裁判手続きへの評価、和解組が判決組より積極評価の項目が1つもない! 和解の方が満足度が高いとはいえないのか。

・証人尋問をすると満足度が下がり、これは訴訟の結果に関わらない。謎だがずっとそうなのだ。ガス抜き効果は存在しない?

 

ジュリスト1529号 控訴審

「訴訟実務のバイタルポイント 控訴審

一回結審と逆転判決と不意打ち批判。高裁としては結審後の和解における心証開示があれば不意打ちではない(当事者的には審理は終わってしまっているのにと思うがそこはすれ違う)。

門口先生「私どもの時代には、一回結審で結論が変わるということは考えられなかったのですが、最近ではそういう事例もあるということでしょうか。」

主張立証させるまでもなく判断できるなら続行しない。たいていの場合は答弁書に詳しい主張があり、被控訴人代理人も一審判決の弱点をわかっている。しかしそうでもないときには大丈夫かと思う。裁判所から見ると一審判決はありえないというときにそれを当事者もわからないのか?

口頭弁論結果の陳述のさせ方。「原判決事実摘示のとおり」か、「原審の口頭弁論の結果」か。

控訴理由書の提出期限が守られているのはせいぜい6割(!)。

金融法務事情2107号 民事信託、事業承継、預金債権特定

・「民事信託の活用と今後の課題」

・ 「民法(相続法)の改正と事業承継」

遺留分算定の基礎財産に参入される「特別受益」と遺留分侵害額の算定に際して差し引かれる「特別受益」は違う。相続開始前10年の受益は、被請求側分は参入されず、請求側分は参入される。

基礎財産への受益の前10年への限定により生前贈与の効力増強といえる。

・「預金債権の特定・再論 近時の抗告審裁判例に対する検討」

ネット専業銀行の全店一括順位付け方式の債権差押を認める抗告審決定(名古屋高裁金沢支部平成30年6月20日決定)。

 

NBL1139号 相続法改正

「相続法改正の概要」

寄与分の要件が「特別の寄与」だけど新設の「特別の寄与料」も「特別の寄与の制度」とかって言われるのでまぎらわしい…。

寄与分は、通常の貢献は相続分による取得で評価されているという前提で「特別の寄与」のハードルが高いが、「特別の寄与の制度」の寄与はそうした「通常の寄与」との対比ではない、と。

 

家庭の法と裁判18号 養育費と扶養料、監護者指定引渡、婚費減額の分割払

・大阪高裁平成30年3月15日決定

原審が養育費事件(母申立。終期を大学卒業まで+学費の支払いを求める)と扶養料請求事件(子本人申立)と2件ある抗告審で、支払いの終期を大学卒業までとし、子が20歳になったということで債務名義を扶養料に一本化した高裁決定です。

この解説書いたの誰? 「破産宣告」という懐かしの用語が。

・大阪高裁平成30年3月9日決定

協議離婚時に親権者を父と定めつつ母が監護していた子について、父がGW明けに子を戻すと虚偽の説明をして子を引き取ったまま返さなかった件で、離婚により一方が親権者であってもその時点において子の監護者に関する協議が調わない状況であれば家裁が子の監護者を指定できるとした上で、母からの子の監護者指定引渡申立を認めた高裁決定です(原審は「明らか」基準で却下)。母の監護は5年2ヶ月、父の監護は10ヶ月。

福岡高裁平成29年7月12日決定

夫から妻への減収を理由とする婚費減額申立について、夫の減収自体ではなく、妻の給与収入が生じたことを理由として婚費減額が認められ、過払い分について即時支払いは酷として月額2万円ずつ(=毎月の減額幅)の返還とした高裁決定です。そもそもこの過払い分の扱いについては家事審判の対象外とする立場、将来分への充当処理とする立場もあると。