弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

松浦理英子「最愛の子ども」

長距離バス車内にて。

女子高校生の群像劇、若者の自意識、いくら鮮烈でももはやあんまり興味ないなあと思いつつサラサラと読んでいて、中盤、「あの人」のくだりで急にぐっときて(若者の生々しい生きざまより時間差をつけて振り返るこの部分の感じ!)、そして最後の語りでもっていかれた! この自分の未来への絶望感、「ナチュラルウーマン」の最後が思い出されて。

で、「ナチュラルウーマン」。

読みたくなって久しぶりに読み返したんだけど、「最愛の子ども」の最後を読んで、ああ、ナチュラルウーマン!と思っていたときの「ナチュラルウーマン」はもっと素晴らしい物語だったのに、いまあらためて読んでみると、私は記憶の中で「ナチュラルウーマン」を美化してたような気がする…、内容がどうというより、その行為はばっちいんじゃあ…と思えていちいち気が散ってしまって。

(あと、「ナチュラルウーマン」の3部構成って、痛々しい若さがどんどん退廃して観念と肉体が分離していくのが三島の「豊饒の海」を思い出して急に「豊饒の海」も読み返したくなった。)

「港って旅立つ場所っていうより帰って来ないといけない場所みたいに思える」「闘う価値もないものと闘うより、ひとまず離れた方がいい」「道なき道を踏みにじり行くステップ」「心を鍛えるだけでは幸せに生きて行くのに充分ではないのだ。」

このインタビューで、最後に希望を感じたというインタビュアーに、著者が意外と応えていて、そうたしかに、この一連は印象は絶望なのに字面は希望っぽくてどっちに読むんだろうと思ってたんです。

bunshun.jp

 

 

最愛の子ども

ナチュラル・ウーマン (河出文庫)