弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

南直哉「恐山 死者のいる場所」

新書だし?あまり突っ走らず万人にわかりやすく書かれている感じ。もっと小難しくわかるかわからないかキワキワの論が読みたいので次はどれを読もうかな。

そして、恐山に来たのはそういうわけだったのね。運命感じます。それがわかったのが本書の収穫。

恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)

岡田尊司「人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか」

人間関係が流動的だった学生時代にはわからなかったことですが、私にはこまごまとその人の文句を言いたいような感じを抱くお相手にあえて近づいていくという癖があるようで、そして同じ環境でもう20年くらい生きてくるとその結果として、その接近観察によって、そのお相手のすごさを誰よりわかってるのは私だ!くらいの感情の変容を遂げたりするのです。文句を言いたい気持ちというのはそれだけ興味があることで、そう興味を抱かせるなにものかが自分の中にあるのだと。感想代わりのメモ。

人間アレルギー: なぜ「あの人」を嫌いになるのか (新潮文庫)

調停時報200号 面会交流の制限事由

・民事調停座談会

調停時報100号から30年の民事調停を振り返るという座談会。バブルとバブル崩壊、特定調停、消費者契約、建築、交通事故などなどおもしろい読み物でした。

・家事調停座談会

同じく30年のふりかえり。

・90頁←面会交流の制限について杓子定規対応をされた場合に振り返りたい記載(自分用メモ)。

文句を書きたいところ1ヶ所、引用したいところ1ヶ所あったのですが、この調停時報の性質がよくわからない…ケース研究なんかと違って市販されているわけではないので控えました。

家庭の法と裁判15号 不貞慰謝料

「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析 5・完」

これまでの概要のおさらいも。いわく…

原告は妻が夫の2.3倍。

不貞行為の相手方だけを被告とするものが9割以上。

請求額は、300万円台、500万円台、400万円台の順。

認容額は150~199万円が最多。100~149万円、200~249万円、50~99万円の順。

全体の7割において認容額が請求額の2分の1以下。

配偶者の自白があっても不貞行為の存在を認定できないとした事例が多く存在する。

調査費用は認められない事例が多い。

判例時報2370号 特別受益

東京高裁平成29年7月6日判決

父の相続時に子が母から法定相続分を譲り受けた場合、母の相続でその譲受は特別受益にあたるとした高裁判決です(原審維持)。母には固有の遺産はなく、特別受益遺留分算定の基礎として主張された遺留分減殺請求事件です。父の遺産総額は約9000万円でその2分の1が譲渡対象。