弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報2427号 面会交流、痰吸引窒息、自己決定権侵害

・東京高裁平成30年11月20日決定

当初、父が子を連れて別居して、母からの引渡審判事件が認容されて任意引渡しとなった上で、父からの面会交流申立事件。父による連れ出し別居があったことから、連れ去り懸念に配慮して母立ち会いの面会とした高裁決定。

東京地裁平成31年1月10日判決

気管切開カニューレからの痰吸引中に急変して低酸素脳症による遷延性意識障害となったことについて、日本呼吸療法医学会「気管吸引のガイドライン」に従ったアセスメント実施義務違反の責任を認めた判決。

神戸地裁平成31年4月9日判決

未破裂脳動脈瘤を見落とされ、11ヶ月後に破裂→後遺障害となったことについて、外科治療を選択した高度の蓋然性は否定、自己決定権侵害による慰謝料等330万円を認容した判決。

家庭の法と裁判24号 親ガイダンス、配偶者居住権、特別縁故者

・「東京家庭裁判所における親ガイダンスの取組について~現状と課題~」

・「人事訴訟の審理の概要」

・「配偶者居住権の鑑定評価方法の課題」

・大阪高裁平成31年2月15日決定

被相続人の元雇用主に対して特別縁故者分与を認めた(4120万円中2000万。原審の800万より増額)高裁決定。

神戸家裁尼崎支部審判

母方義従姉妹に対して特別縁故者分与を認めた(6700万円中2000万)審判。遺言の形式ではないものの預貯金等の半分を残すメモ書きがあるという事情からやや高額なのか。

金融法務事情2129号 準消費貸借

東京地裁平成31年2月26日判決

金銭消費貸借契約公正証書が実は準消費貸借契約で旧債務不存在で保証が無効として請求異議を認めた裁判例。書面上の消費貸借が実は準消って実際には多いので…