弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ジュリスト1551号 養育費

「海外法律情報 韓国 悪い父親たちへの警告 不払い養育費の取立強化」

養育費を払わない親の個人情報を公表するサイト「バッドファーザーズ」に関する名誉毀損事件で、公益性があるとして無罪になったとのこと(検察控訴中)。

8割のひとり親家庭が養育費の支払いを受けていない(日本とだいたい同じ!)。

養育費確保策として、国の機関による立替払+求償、不払いの親の運転免許の効力停止(!)。パスポート発給拒否や公的機関による氏名公表も導入される可能性?

判例タイムズ1475号 DNAR

「第12回 医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム」

延命の意思確認に関して家族の一部からの訴訟事案等が題材。生命倫理について。真の相互理解になってきたという発言も出ているように充実したやりとり。もっと寒々しい内容にもなりかねないものを、それぞれの団体が出す方をよりすぐったのではないかしら。この種の話に触れるときには振り返っておきたい。

斉藤倫「どろぼうのどろぼん」

ただしいとか、ただしくないとかじゃない。ただ、だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできているというだけ。そのぜんぶを、すべて一気になんとかすることはできなくて、ただじぶんの近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ。

公園というのは、なにかのためにある場所じゃない。なんの役にも立たないことが、だいじなんだ。この公園は、そういうふうにつくられている、と思った。たとえばひとが、世の中だれにも必要とされず、どこにもじぶんの場所がないように思える日に、落ちつけるところ。ほんとうに無力で、意味がなくて、それでもそこにいていいんだって、いってくれる場所。それが、公園なのかもしれない。

こんなくだりが自分も初見での読み聞かせでは、神妙な祈るような心持ち。

どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)

岡田淳「選ばなかった冒険 光の石の伝説」

○が死んじゃったことの抑制の効いた示し方とか、○が実は○だったとわかったら登場シーンにさかのぼって読み返したくなるところとか、戦いと平和、主役と脇役、人は役割のみにて存在するのか、などなど。名作。

 

選ばなかった冒険——光の石の伝説 (偕成社文庫)

ケース研究339号 面会交流、婚姻費用養育費

・「東京家庭裁判所における面会交流調停の新しいモデルについて」

「新たな運営モデル」による運営のイメージ図とか課題の把握シートとか。

・養育費、婚姻費用の算定に関する標準算定方式・算定表の改定とこれに伴う実務上の諸問題

概要解説のほか、自らの収入のない再婚配偶者の生活費指数、年金収入における職業費の処理について。