弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2009-01-01から1年間の記事一覧

宇都宮健児「弁護士、闘う―宇都宮健児の事件帖」

弁護士になるまで、なってからの経歴を含めて、すごい人だなーとつくづく思います。さぞかし神童だったんだろうなと思うし、鳴かず飛ばず(とご自身が言われるのを一応真に受けるとですが・・・日中、ヒマなあまり喫茶店で漫画読んでたというのは、やっぱり…

伊坂幸太郎「あるキング」

これは・・・寓話ですね。うーん、なんか全然わからなかったし、わかるために読み返したいとも思えず、今回はご縁がなかったという感じ。野球というテーマが自分的に超!どうでもいいせいかも。

辻三千代「女36歳からでもキャリアは作れる」

「3人の子供と幼馴染の夫との平凡ながらも幸せな生活は、夫の裏切りで崩壊した。海外赴任から帰国後、1週間で夫が失踪。子供を抱えて上京し再就職をはたした著者は、キャリアアップのための転職を繰り返し、55歳で思いがけず教授となった。著者の強烈な…

網野善彦「日本の歴史をよみなおす (全)」

こないだの長距離フライトにそなえて、ゆっくり読めて読み返しに耐えそうな本をいくつか選んだ中の1冊(でもどれも1ページも読まなかった。結局、函館への行き帰りで読むことになったけど。キングオブ秘境駅小幌通過の瞬間だけは小幌駅ホームに大注目)。…

山田詠美「学問」

どことなく、姫野カオルコ「ツ・イ・ラ・ク」みたいとおもって、「ツ・イ・ラ・ク」をもいちど読みたくなった。これ自体は特にピンとこず。ポルノとかいって騒ぐほどのもんじゃないよな。

野中広務・辛淑玉「差別と日本人」

辛淑玉の本ははじめて。この対談すごくよかった。「人権は好きだけど当事者が嫌いな人はいっぱいいる。」という言葉はすごく思い当たるしすごく言い当ててる。 辛「私たちにとって、政治というのは遠いんですよ、すごく。」野中「敵だと思ってるから。」/辛…

緒方重威「公安検察 私はなぜ、朝鮮総連ビル詐欺事件に関与したのか」

ある意味おもしろかったけど、あまりに○○なんじゃないか、この方のいろいろなお役目がこれで務まる程度のものだったのかと思うとさむざむしい、という感想。この系の本としては私の中では、細野祐二「公認会計士vs特捜検察」と同じフォルダ。

香山リカ「しがみつかない生き方」

やはり「勝間和代を目指さない」に、ほおっと思って読んでしまいました。この人の単著を読むのははじめてかも。内容的には、まあ、そうだよね、という感じ。こんな後ろ向きな気持ちで仕事されてる方とは知らなかった。

萬年浩雄「人を動かす「人間力」の磨き方―熱血弁護士の事件簿に学ぶ」

ノウハウ本的なタイトルは内容と一致してません。ベテラン弁護士の小咄集。一致しなくても佐伯唱道「なぜ弁護士はウラを即座に見抜けるのか?」これなんかはとてもよかったのですが。一話目からナニコレ状態・・・(個人的感想です)。預金引き上げるぞと怒…

山田昌弘「ワーキングプア時代」

「医療経済論」とテーマが続いた感じで、社会のありかたについていろいろ考えました。子育て世帯の格差は当初所得より再分配後所得の方が拡大してるってすごい(もともと格差で上の方にいる正社員世帯に社会保障が偏っているから、社会保障後にさらに格差が…

大森正博「医療経済論」

経済のかたい本を読むことなんてほとんどないので普通がどうなのかわからないのですが、経済の本にしては変わってるなと思うことがいくつか。目立つところでは、医師−患者の関係性や、社会の中の強者−弱者の関係性で、アルトゥイズム(利他、隣人愛)をひと…

判例時報2042号 藁の上からの養子の親子関係不存在

・名古屋高裁平成20年12月25日判決 藁の上からの養子に対する実子からの親子関係不存在確認請求について、権利濫用として棄却した原判決を取り消して、請求を認容した判決です。平成18年最判のあてはめが地裁と高裁で分かれたものです。

池田晶子「勝っても負けても 41歳からの哲学」

友人がはまってると聞いてはじめて読んでみたのですが、最初に読む本としての選択を誤ったみたい。もともと、好きな作家でも、週刊誌連載や複数の媒体に書いたのをまとめただけのエッセイ集なら読まないことにしてるのでした。文章の力に相当自信のある方ら…

ヒューマンライツ・ナウ「人権で世界を変える30の方法」

人権で世界を変える30の方法作者: ヒューマンライツナウ出版社/メーカー: 合同出版発売日: 2009/06メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 113回この商品を含むブログ (7件) を見るこんなとこで宣伝しても何の効果もないよといいつつ、いちおうのっけてみます…

P・F・ドラッカー「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))」、デール・カーネギー「人を動かす新装版」「道は開ける新装版」

ここで紹介することはほとんどしてませんが、実は自己啓発本やノウハウ本みたいのもたまに読んでます。だいたい同工異曲でけっきょく根っこはひとつじゃないかと思って、古典に手を出してみました。じっさい思ったとおりでしたが、でも同工異曲といってもこ…

判例タイムズ1297号 相当程度の可能性、財産分与と共有物分割

・大阪地裁平成21年3月25日判決 産後の出血性ショックによる死亡ケースで輸液実施の注意義務違反を認めつつ、因果関係は否定し、相当程度の可能性で慰謝料1500万円を認めたものです。 ・東京地裁平成20年11月18日中間判決 離婚前の夫婦が共有…

家庭裁判月報第61巻第7号 子の引渡の保全等

・東京高裁平成20年12月18日決定 子の監護者指定、引渡の保全処分を却下した原審判を変更し、仮の引渡を認め、監護者仮指定を却下した高裁決定です。父である抗告人のもとで事実上監護されていた3歳男児を母が連れ去ったケース。保育園に無断で入り込…

山崎豊子「運命の人」

ひさびさのヤマトヨ。さすがの筆力というかんじで引き込まれ、二晩くらいで一気に読みました。タイトルは運命の女(と書いてひとと読む)とかではなくて(そういう感じの恋心ものなのかとさいしょ疑っていた)、運命に翻弄された男というくらいの意味なんで…

なんか

いまいち使い方というか用途、がわからないんですが、twitterをはじめました。

佐藤優「甦る怪物(リヴィアタン)―私のマルクス ロシア篇」

外見が好みという不純な読者にいろいろ難しい話を展開してくれてありがとうという感じで何とかついていきました。

判例タイムズ1296号 飲み屋トーク

・門野博「刑事裁判ノート 札幌高裁編」 題材がみな聞いたことのある事件なのでよけいに興味深く読みました。I先生が激賞されています。 ・座談会「民事訴訟における当事者・弁護士・裁判官(上)」 一部、飲み屋でするような話しが堂々と展開されてて、ほ…

上野千鶴子「「女縁」を生きた女たち」

えんじょいすと…世代のためなのか時代のためなのか、そのネーミングだけで目がすべって読めなくなるようではだめですね。

毎日新聞社会部「離婚後300日問題無戸籍児を救え!」

立法救済への保守層の巻き返し、法案が葬り去られた過程をみると、民法の背後には意思主義・血縁主義とは違うモヤモヤした何かがあり、そのとても肉厚な壁の存在が興味深いです。壁と卵の比喩でいったら、卵になるのは個人の決意ひとつであるいみ簡単なこと…

金融法務事情1871号 預金履歴開示

「座談会・預金者の取引経過開示請求権に係る最高裁判決が金融実務に及ぼす影響」 最判平成21年1月22日は、当時23条照会委員会にいて銀行の回答拒否への申入についてゴチャゴチャ議論などしていたときに出てくれたので印象深いです。この座談会は派生…

判例タイムズ1294号 供述の信用性

濱口浩「ウィトゲンシュタインの火かき棒」 10名の裁判官が同時に経験した出来事の記憶がみな食い違ってたという話しから供述の信用性について。おもしろい話しです! 追記・一日一冊先生のところで詳しく紹介されてます→リンク

島尾敏雄「死の棘」

前に読んだときは途中で挫折したんです。「IN」後なのでようやく読み通せました。よく、「火宅の人」とごっちゃになるんじゃないかと思いますが、「火宅の人」は妙にかわいくて、狙ってる感こそうまく隠せているものの狙ってるとしか思えないのに対し、「…

木山泰嗣「弁護士が書いた究極の文章術―誤解なく読み手に伝える書き方のヒント28」

文章術には名著も多数あるものの名著は名著なりの難しさがあるので易しいものを、というコンセプトだそうで、たしかにすぐ読めるのでいわゆる名著を読む時間体力のないひとにはよいだろうと思います。

会田雄次「敗者の条件」

「菊の御紋章と火炎ビン」で言及されていたので。戦国武将版「君主論」というかんじでよかったです。

近畿弁護士会連合会人権擁護委員会「刑事施設内医療を考える 刑務所から見えるもう一つの医療問題」

牢獄に入れられてはじめて、人は真にその国家を知ることになる。国家はその最も高い地位の市民を扱う方法によってではなく、最も低い地位の市民を扱う方法によって判断されるべきである、というネルソンマンデラ氏のことばはこのたぐいの本にはだいたい引用…

湯沢雍彦,宮本みち子「新版 データで読む家族問題」

講演のネタとしてや、ネタにするための統計を知るためのとっかかりとして非常〜〜につかえるこの本、データをあらたにして新版になってます(平成20年11月刊)。