弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1907号 裁判官像・紛セ示談

「司法制度改革と裁判官」
裁判を野球になぞらえた表現で、何時間かかるかわからなくてもとにかく9回で終わるということがわかる野球のように裁判も全体の進行がわかるように、また、途中の点差が当事者、観客にわかるように、という発言が印象的。
当事者のやりとりに裁判官がちゃんとついてきているかどうかを都度確かめ、かつ、ついてくることを求めながら訴訟を進行していく必要性とか、そのための期日でのディスカッションの重要性を思います。
「大阪高裁H17.4.28判決」
保険会社が自賠支払を見落として交通事故紛争処理センターでした示談の有効性が争われた事件。保険会社が無効を主張して一部支払を拒絶していたことから和解の解除を認め、裁判所の認定した損害額の支払いを命じました。一部無効一部有効とした一審判決も興味深く読みましたが、高裁で取り消されたのですね。こうしてみると、もともとの、交通事故紛争処理センターでの和解額が、認容額よりずいぶん低額なのが気になります。