弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1914号 第三債務者への送達と支払

東京高裁平成15年10月22日判決
第三債務者が、先日付で銀行の送金手続をした後、債権仮差押命令の送達を受け、送達後に送金が実施された場合であっても、債務の消滅を仮差押債権者に対抗できるとされた事例です。対抗できない、とした原判決を取り消したものです。
事案は、
・12月31日付退職による退職金債権
・第三債務者は、12月26日、銀行に28日付送金を依頼(31日退職であるところ28日としたのは、銀行の最終営業日が12月28日であるため)
・12月26日債権仮差押決定、27日午前11時第三債務者に送達。ちなみに27日は第三債務者の仕事納めの日で、終業は午後0時15分。
というものです。
第三債務者の組織がそこそこに大きいと、送達を受けてから経理の担当者に届くまでのタイムラグなどあるでしょうから(本件も守衛が送達を受けています)、限界的な事例はいくらでもありそうですよね。これも妥当な結論だと思いますが、それでも原審では第三債務者は負けていたのです。