弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

桜庭一樹「私の男」

私の男
直木賞ということで思わず買ってしまいました。そしたらすごくよかった。3回読みました。直木賞って、別に騒ぐほどのものでないことは審査委員の顔ぶれをみただけでわからないんだろうか、といつも疑問なのですが、北方謙三の「神話」という表現が(「おかしいところをあげつらうといくらでもあるが、ある神話性を持った話だ。」)、意外といいこと言うと見直しました。
北の地のみなしごモノとして思い出すのは三浦綾子「氷点」で、氷点では罪の許しを象徴する場面となった流氷が、こちらでは「善悪の彼岸」を曖昧にする装置(流氷接岸により陸と海の境がみえなくなることからの暗喩)として登場してるなんてことを思いました。
さらに北の地のみなしごモノといえば。それは佐々木丸美なのですが、桜庭さん自身が佐々木丸美ファンだという話もあるようです。