弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

二弁フロンティア2018年10月号 成年後見

成年後見実務の運用と諸問題」

死後事務、永代供養、報酬支払いのための預貯金払戻許可(相続財産の保存に必要な行為該当性)、相続人による閲覧謄写への対応、など。

アトゥール・ガワンデ「死すべき定め-死にゆく人に何ができるか」

年末くらいから、読みさしては間をあけてまた最初から読むということを3度くらい繰り返してようやく読了。読みすすめられないのにはわけがあったのですが、そのわけのこともまあどうにかすぎたので…。こういうのは、自分も周りも元気なときにこそ読んで貯めておくべきものだなと思います。

家父長的医師、情報提供的医師、全体像をつかみ共同意思決定をする医師。

今を犠牲にして未来の時間を稼ぐのではなく、今日を最善にすることを目指して生きることがもたらす結果。

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか

判例時報2375・2376号 DV支援措置

阪高裁平成30年1月26日判決

DV加害者とされる者の代理人弁護士からの戸籍附票請求を拒否した市長の処分について、代理人弁護士が原告となって処分取消を求めた訴訟で、請求を認容した原判決を取り消して請求を棄却した高裁判決です。事案によっては、代理人弁護士に依頼人への秘匿の誓約を求めて交付するなどの措置の可能性も示唆されつつ、本件では、委任事項が離婚そのものでなく、和解離婚時に定めた仏壇の引き渡し等の処理という点だった(必要性が相対的に低い)のも判断に影響している気がします。

俵万智「牧水の恋」

歌人って…残された歌をみれば我ながら考えればわかりそうなものとは思いつつも、こんなにも自分の色恋をリアルタイムに歌として雑誌に発表してるのがまず驚き。プライベート筒抜けじゃないですか。相手の身にもなってくれ。小枝子さんはそういうのどうでもよさそうでそもそも歌の価値もわからないらしかったのが幸か不幸か。そして妻への口説きの手紙の濃さ!これは文学少女はイチコロなんでしょう。妻のことも美しく歌にしてあげてたんでしょうか、そうであってほしい。

そしてあれらの名歌がこんなに月並みっぽい普通の色恋の背景から生まれたとは。初恋にしてこの泥沼っぷり…恋に恋してるだけの脳天気な時期から、じらされて、得たと思ったら悩まされ翻弄され…というのは牧水側の視点であって、裏返して見れば牧水のダメ人間っぷりひどい。こんなにも生活力がなくてこんなにもロマンチストな男、うわぁ…イヤだ。

しかし体当たりインタビューで記録を残して関係者の死後に公表した弟子の大悟法氏の使命感も立派。そうさせるだけの牧水の歌のすごさでもあり。

牧水の恋