弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

清水聡「家庭裁判所物語」

仕事として家裁に出入りすることのある人には必ず全員読んでほしい! どうしてこんな地味な装丁で、昔に出た本の復刻版みたいなどうでもいい感じなのでしょう? これはすごい本ですよ。胸をうつ愛と感動の物語が家裁にはあったのです。しかし今は? 掛け軸はどうして、どこに納められてしまったのか。

家庭裁判所物語

久保田勇夫「役人道入門 組織人のためのメソッド」

役人でも組織人でもないですが、だからこそのお勉強として。

・鉄のような厚い面の皮とずぶとさに徹した腹の黒さ!

・ある事項を説明するときにそれに最もふさわしい表現はただ1つ。それぞれの状況において最も適切な文書はただ1つ。作文修行はこの唯一のものを求めていくプロセス。

・どうやって正確かつ適切な文章にしようかと苦吟した者でなければ、自らに示された文章を正確に理解できない。

・交渉の第一歩。反論せずに聞き、質問をする。

・誰にでも同じ言葉で。

新装版 役人道入門――組織人のためのメソッド (中公新書ラクレ)

論究ジュリスト28号 民事訴訟利用者調査

「特別座談会2016年民事訴訟利用者調査の分析」

・原告の本人訴訟「自分だけでもできると思った」62.5%で10ポイント以上増。アクセスの問題は解消しつつあり自分の思いどおりに裁判を進めたいというこだわり背景? 本人訴訟への後見的な訴訟運営の是非。

・自然人被告の本人訴訟は情報、お金の回答増でアクセス障害払拭されていない。

・裁判前の躊躇意識の割合が増加。躊躇→見合わせではなく現に訴訟に進んだ層が増えたという分析?

・依頼者が淡泊化、濃い依頼者が減った?

・女性の方が裁判制度を評価していない傾向。

・裁判手続きへの評価、和解組が判決組より積極評価の項目が1つもない! 和解の方が満足度が高いとはいえないのか。

・証人尋問をすると満足度が下がり、これは訴訟の結果に関わらない。謎だがずっとそうなのだ。ガス抜き効果は存在しない?

 

ジュリスト1529号 控訴審

「訴訟実務のバイタルポイント 控訴審

一回結審と逆転判決と不意打ち批判。高裁としては結審後の和解における心証開示があれば不意打ちではない(当事者的には審理は終わってしまっているのにと思うがそこはすれ違う)。

門口先生「私どもの時代には、一回結審で結論が変わるということは考えられなかったのですが、最近ではそういう事例もあるということでしょうか。」

主張立証させるまでもなく判断できるなら続行しない。たいていの場合は答弁書に詳しい主張があり、被控訴人代理人も一審判決の弱点をわかっている。しかしそうでもないときには大丈夫かと思う。裁判所から見ると一審判決はありえないというときにそれを当事者もわからないのか?

口頭弁論結果の陳述のさせ方。「原判決事実摘示のとおり」か、「原審の口頭弁論の結果」か。

控訴理由書の提出期限が守られているのはせいぜい6割(!)。