弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2014-01-01から1年間の記事一覧

最相葉月「セラピスト」

聞くこと、寄り添うことによって相手を癒すという点で「教誨師」との連続性を感じつつ、そして、中井先生の言葉として紹介されている以下の部分… 「言語は因果律を秘めているでしょう。絵にはそれがないんです。だから治療に威圧感がない。絵が治療している…

堀川惠子「教誨師」

東京拘置所で死刑囚の教誨師を長年務めた僧侶への聞取に基づく本書。生と死、死刑制度、司法制度について考えさせられます。内容は重く、読むには覚悟がいるかもしれません。

瀬木比呂志「絶望の裁判所」

まあ一応読みました。 わたし、このブログを検索で遡ってみても、瀬木さんのことは最初はけっこう参考になると思って読んでいて、しかし、2011年5月5日にツイッターでこう↓書いているS裁判官とは瀬木さんのことで、途中からナナメに見るようになって…

神林長平「猶予の月」「言壷」

キンドルに神林長平がいるからには、もうどんな出張も苦ではありません。 保坂和志が、仮にこうだったらどうなのだこういうことだってありうるんじゃないか云々みたいに思索だけ示しているようなことを、神林長平はほんとに物語の骨組みとして作り上げちゃっ…

佐々木健一「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」

「時点」という言葉の用例「1月9日の時点ではその事実は判明していなかった」に深い意味があったりという謎解き的にも、マニアックで突き詰めるタイプの男2人の友情の物語としても、ものすごく宇読みごたえがあります。超おすすめ。

黒岩揺光「僕は、七輪でみんなをハッピーにしたい」

友人のところに遊びに行って机上にあった本をなんとなく貸してもらっての読書。自分からは読まないだろう系の本だったので、出会いでした。おもしろかったです。要素盛られすぎで、うまく説明できないのですが、異文化との交流とかマネジメントとか人間どう…

家庭裁判月報第65巻第7号 文献、面会、婚費

・「人事訴訟−停滞させない審理のヒント」伊藤由紀子 特に目新しいことが言われているわけではないですが、各論点について参照すべき基本的文献が紹介されているのでそれらのインデックスも兼ねて。 ・東京高裁平成25年6月25日決定 未成年者の父母の互…

マリーナ・チャップマン「失われた名前 サルとともに生きた少女の真実の物語」

5歳のときに誘拐されジャングルに捨てられてサルの群れと一緒に5年くらい生きてそれから人間社会に戻ったけど…という自伝。よかったです。わたしこういうの大好き!

保坂和志「未明の闘争」

いつもながらの猫ばなしだけでなく、火宅の人みたいな不倫エピソードもあるのですが、猫と不倫相手とが愛玩対象として重なってるということかなとか、ポッコとジョジョのエピソードを話者ではなく友人の話にズラしているのも不倫を扱っていることと関係ある…