弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2014-01-01から1年間の記事一覧

高中正彦ら「弁護士の失敗学 冷や汗が成功への鍵」

良書です。

ケース研究320号 間接強制

「面会交流の間接強制の可否に関する最高裁決定をめぐる考察」 裁判官から調停委員向けの考察ですが、我々にも参考になります。

ジュリスト1471号 父子関係

窪田充見「法における親子の意味 最高裁平成26年7月17日判決を契機に」 DNA鑑定の結果をもとに親子関係不存在確認の訴えで父子関係を争うことができないものとした最高裁平成26年7月17日判決について、親子関係をめぐる近時の最判(平成25年…

判例タイムズ1402号 非免責債権

最高裁平成26年4月24日判決 非免責債権であることを理由として破産債権者表について執行文付与の訴えをすることは不適法とした最判です。 このことを前提には、非免責債権の債権者は、破産事件の記録のある裁判所にて単純執行文の付与を申し立てるか、…

柴崎友香「春の庭」

家に積もる時間、人称のぶれ、人の目を通して風景を見るという感じ…がすごく保坂っぽい感じ! 保坂の「私が雲を見るとき見るは雲によってもたらされている。」とか、そういう雰囲気があって! かなり気に入りました!

J.C.カールソン「CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる」

弁護士業務にはあんまり関係ないかもですが、信頼関係は現金と同じというあたりの発想がマキャベリでほんとにそうだと思いました。

判例タイムズ1401号 医療訴訟

大島眞一「医療訴訟の現状と将来 最高裁判例の到達点」

神林長平「言葉使い師」「プリズム」

最初に読んだ神林長平が「膚の下」だったのは幸か不幸か? いろいろ読んできたけども、どうやら、「膚の下」がベストなのかな〜 これらもとっても良いのですけど。

佐藤優「修羅場の極意」

やっぱり連載をまとめたものって内容に玉石あるし、マサルさんが修羅場をどう乗り切ったかは「国家の罠」を読めばそれに尽きてると思います。本書の「おわりに」で引かれている「コヘレトの言葉」は「国家の罠」でも印象的に扱われていました。 関係ないけど…

高山なおみ「明日もいち日、ぶじ日記」、武田百合子「ことばの食卓」

またしてもよんどころない事情でカンヅメになった週末に。 「ことばの食卓」は買い置きで(でも精選随筆集とほとんどかぶっていた…)、「ぶじにっき」は、こういうときには何か女性エッセイで、憤り系でも自虐系でもオカルト系でもないものを!ほっこり生活…

判例時報2220号 遺産分割後の共有物分割

東京高裁平成25年7月25日判決 遺産分割による共有状態のマンション居室(被告が居住中)について、共有物分割請求が権利の濫用に当たるとして棄却された裁判例。

二弁フロンティア2014年7月号、8・9月合併号 医療事件

講演録「医療事件の代理人に求められる弁護水準とは」 廣谷章雄裁判官、藤田尚子弁護士からの基調報告と、パネルディスカッション。私的意見書、専門委員制度、代理人の心構えなど。

判例時報2218号 年金分割

東京家裁平成25年10月1日審判 元夫から元妻に対する年金分割申立で、按分割合を0.3とした決定です。 別件の元妻から元夫に対する年金分割は0.5とされています。 元夫の多額の負債で元妻が苦労したこと、元夫の退職後に元妻の収入で家計が維持され…

ケース研究319号 財産分与等

「財産分与が問題となる調停手続の運営について」 論点の分析、裁判例の紹介なども。 「小児精神科医療における入院治療」 このタイトルでは内容をあらわしきれておらず、小児精神科領域についてとっても分かりやすい解説です。 「発達障害のある当事者の離…

三浦知良「とまらない」

弁1事務1というミニマム体制を個人所有物件の事務所にチンマリと収めていると、なんか周回軌道にいるような閉塞感?があったりなかったり(ゼイタクな話しでしょうけど…)。 そんな気分に活を入れてくれた本書。 周回軌道でも、たゆまず、コツコツ進むこと…

金融法務事情1994号 婚費養育費差押

さんまエクスプレス「養育費その他の扶養義務等に係る債権に基づく債権の差押え」 普通の本で言及ないような論点についても運用が示されています。

「精選女性随筆集第八巻石井桃子、高峰秀子」「精選女性随筆集第十巻 中里恒子、野上彌生子」

随筆を読む気分ではなくこの2冊がしばらく残っていましたが、この週末、よんどころない事情で閉じ込め状態となり、2冊まとめて読了。ほんとはこれって良いことではなくて、1人分を読んでしばらく余韻を感じていたほうがよいのですが…。4人ともとってもよ…

判例時報2216号 再度の退去命令

・福岡高裁平成25年9月19日決定 DV法の保護命令で、前の退去命令の期間内に退去が完了しなかったとして、再度の退去命令が申し立てられ、却下した原決定を取り消して再度の退去命令を発令した決定です。

金融法務事情1993号

「遺留分減殺請求権の消滅時効と民法158条1項の類推適用の可否」 「相続放棄と払戻済み預金の返却の申出」 メモとして。ちなみにこの読書日記は2005年からでもう10年になんなんとするんですよ。自分で過去記事を検索してほしい文献に辿りつくため…

佐々木静子「命もやして」

今回の超おすすめが本書。 弁護士になるまでの履歴がサラリと書かれつつ波瀾万丈なのとか、八海事件のすごさ、福岡事件のまさかの許すまじな展開、人訴法の管轄、離婚後の強制復氏、妻の相続分の法律改正のこと(そんな管轄の定めだったとは知らなかった…)…

小早川明子「「ストーカー」は何を考えているか」

力こめて書かれておりおすすめです。そしていつも思うのですが、我々はふつう、その人が当事者化してはじめて出会い、当事者としてのその人しか知らないわけで、トラブルを抱えていない平常運転のときのその人はどんなふうなのか、知らないんですよね。稀に…

アダム・グラント「GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代」

ギバーかどうかをテストで判定したうえでこの人物はどうのこうのという立論なのですが、それってそんなに判別できるものなのかな〜とか微妙に思いつつでした。結局は棺を覆うまで分からないんじゃないか、とも。

判例時報2214号 人身保護(子の引渡)

神戸地裁平成24年7月31日判決 中南米国の事実婚妻から日本人夫が日本に連れ戻り監護している子につき引き渡しを求める人身保護請求が棄却された件です。本国法上は夫には監護権がなく、無権限者による拘束という前提での「被拘束者を請求者のもとにおく…

迷惑防止条例

読書記録ではなくてちょっとメモ。道内の逮捕事例の新聞記事で本改正について触れられていたのでおさらい+備忘として。 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例案 ○主な改正内容 本道におけるつきまとい行為等に…

弘中惇一郎「無罪請負人 刑事弁護とは何か?」

[asin:4041107644:image:small] 弘中先生はすごいなあ。 冒頭のQ先生のエピソードが悲しすぎます。 自分にごく身近な業界まわりの、知らなかった黒歴史的な話しもありました。

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準2014下巻

「高齢者の損害算定に伴う諸問題」 メモ「近時、東京地裁民事27部で、高齢者であるという理由だけで、2000万円を下回る慰謝料額を認定した判決例は見受けられないようです。」

判例時報2208号 期待権侵害的な?

東京地裁平成25年5月20日判決 高齢者の介護サービス送迎中の転倒事故による骨折につき、骨折自体の安全配慮義務は否定しつつ、骨折発生後に「利用者の家族又は緊急連絡先に連絡するとともに、速やかに主治の医師又は歯科医師に連絡を取る等の必要な措置…

ケース研究318号 家事調停

「調停委員会によるはたらきかけの充実 公正な手続の実現と法律による枠組みの確認を念頭に」 調停での当為がわりとくわしく書いてあるので、知識不足でか意図的にかヘンななさりようがあったときなど、ここにこんなふうに書いてありますね…と触れるなどの使…

論究ジュリスト2014年冬号 家事事件手続法

「研究会 家事事件手続法」 調停から審判に移行するときに委任状を出し直すと書いてあるけど、地域差でしょうか…、出し直した事件があった記憶がありません。 履行確保は統計上、平成24年中に1万5666件で全部履行となったのが3分の1程度と。意外と…

判例タイムズ1396号 家事事件手続法

「東京家裁における家事事件手続法の運用について」 運用されかたの紹介です。電話会議システムは「現に活用されている」とのこと。