弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2017-01-01から1年間の記事一覧

高城剛「多動日記(1) 健康と平和 欧州編」

移動中に読むのにちょうど。

二弁フロンティア2017年7月号 時間外、成年後見

・残業代請求事件対応の基礎と最新実務~労働者側から~ ・東京三会合同研修会「成年後見実務の運用と諸問題」

河合隼雄「河合隼雄の幸福論」

幸福であると感じるための条件は、将来に対して希望が持てる、自分を越える存在とつながっているあるいは支えられていると感じることができるという二点。個より普遍に至る道がある。感情の火を適温に保つ。幸福は副産物。

筒井功「日本のアジールを訪ねて 漂泊民の居場所」

おおざっぱにはいわゆるサンカの系統の本ですが考察部分のサンカ批判はネチネチしているのでスルー。事実部分を興味深く読みました。

丸谷才一「笹まくら」

本当に「打ちのめされるようなすごい本」でした。 思考どおりに流れる文体と自在な回想が保坂みあり。戦中の明るさと戦後の冥さ!こまかな描写の昭和感!とにかくうまいしすごい、打ちのめされるというとおり!

ジェイムズ・P・ホーガン「創世記機械」

電気羊のあとに読んだのでよけいにやっぱりこういうのが好きだと思った。ホーガンならではの読み味の良さを指摘している人が多いけどほんとにそう。

フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」

SFはライトノベル系が地雷でしかし選ぶ眼がないので何をよんでよいかわからず、とりあえず古典を読んでみようと思っててきとうに。しかしホーガンの後には薄すぎで、書き割りの舞台の悪い夢のようというか、わたしはこういう視野狭窄モノローグ暴走系はい…

ジェイムズ・P・ホーガン「未来からのホットライン」

ろうそくのくだり…「この蝋燭は、いま全体の4分の1ほどまで燃えているが、一時間かそこら前の宇宙ではまだちゃんとしたままだ。数時間後の宇宙には、たぶん影もかたちもないだろう。総体的な蝋燭というのは、その各時点のあいだ全体なのだ。」…これって、…

判例時報2328号 遺産分割、遺言無効

・東京高裁平成28年8月12日決定 不動産の換価競売と現金等の分割を命じる審判での分割方法。 ・東京地裁平成28年8月25日判決 公正証書遺言を遺言能力なしで遺言無効とした判決です。医師の見解と公証人の見解が詳しく引いてありつつ、公証人に対し…

判例時報2327号 養子縁組

・東京高裁平成27年2月12日判決 養子縁組について、原告の遺留分を減少させる目的がもっぱらで無効とした原判決を取り消して、有効とした高裁判決です。 ・名古屋高裁金沢支部平成28年9月14日判決 養子縁組について養親の意思能力を認め有効とした…

ジュリスト1507号 労働契約法

座談会 労働契約法の10年を振り返って 特に、合意と合理性、足しも引きもしないことと独り歩きについてなど。

判例タイムズ1435号 争点整理、面会交流

・「民事訴訟の争点整理手続の充実に向けた取組について 新人弁護士でもできる書面上の工夫」 ささやか論文。裁判所を信じている若さを感じつつ圧倒されます。 ・大阪高裁平成28年8月31日決定 非監護親(母・中国籍)が求めた面会交流について、監護親…

曽野綾子「私日記9 歩くことが生きること」「私日記1 運命は均される」「堕落と文学 作家の日常、私の仕事場」

最新刊が私日記9。お元気だなーと感心しながら読んでいくと、講演中に倒れかけて講演はやめることにしたり、そして終盤、朱門さん入院と息子さん手術のあたりの緊迫感。ガラリと優先順位がいれかわるこの透徹した感じ。 これまでの刊行ペースだと続刊は3年…

石井光太「世界の産声に耳を澄ます」

奥様の出産をきっかけに世界の出産をめぐる旅に出るって業が深いなー。曽野綾子さんがいつも書いてるような厳しい現実です。

石井光太「津波の墓標」

ネヴィル・シュート「渚にて 人類最後の日」

曽野綾子さんが日記で触れてたからという理由でのコレ。WEBで感想などみると、科学的にはナンセンスらしいですが、読み物としてはよかったです。

壇蜜「泣くなら、ひとり」

作家の日記がもっと読みたい!と思ってしかしちょっと違うだろうと思いつつのコレ…。で、私は、益田ミリとか角田光代みたいな自虐卑下系の女性エッセイはイヤなんだけど世の中にそういう需要が強いのかそういうのって本当に多くて、これもやっぱりそれ系でし…

杉江松恋「ある日うっかりPTA」

小学生母になったので勉強のために。シゴトじゃないコミュニティの人間関係って大変よね、と、PTA以外のアレコレのことなど思い起こしながら、良書です。

判例時報2325号 面会交流と親権者指定

・東京高裁平成29年1月26日判決 例の面会100日で親権者父判決の控訴審判決です。親権者母とし、母による連れ出し別居は親権者指定の障害とはならないと。

曽野綾子「私日記8 人生はすべてを使いきる 悪い運もいい運も」

曽野綾子はかなり昔は小説をそれなりに読んでたもののこのごろはよくトンデモ発言が取り上げられ叩かれてるのを見てなんとなくわざわざ読む人じゃない感じでいたけど、たまたま書店で見かけて、日記ならおもしろいかもと(作家の日記が好きなので)手を出し…

庄野潤三「鳥の水浴び」

書いてることがいよいよ同じことの繰り返しで、前のような題材と題材のマジカルなつながりなんかもなくて、枯淡恬淡という感じ。

山中伸弥ほか「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」

このひとたちの話がおもしろくないわけはないので読む価値はあるのですが、しかし読んでもやっぱり、どなたも最初から何者かではあったと思えてしまうのでタイトルには偽りがあるような。永田氏は理系の論理と文学をあわせもっていろいろ語れる方だとあらた…

金融法務事情2065号 相続預金

「相続預貯金の遺産分割に関する家裁実務 最大決平28.12.19を受けて」 運用、書式など。

原田國男「裁判の非情と人情」

「日本のどこかに私を待ってる事件がある」

判例タイムズ1434号 間接被害、監護者指定

・「間接被害者の損害賠償請求」 ・大阪高裁平成28年8月31日決定 母からの監護者指定、引渡申立を却下した原審について、双方の監護体制の調査を尽くすべきとして取り消して差し戻した高裁決定です。母側には、監護していた当時、男性関係、父に「子ど…

論究ジュリスト21号 名誉毀損、発信者情報開示

「インターネット上の表現に関する名誉毀損訴訟・発信者情報開示訴訟」 飲食店の評価などは名誉毀損に当たらない方向で解釈できないかという方向性、などなど。

判例時報2323号 面会交流、間接強制

・東京地裁立川支部平成28年2月5日判決 面会交流を命じる審判が未確定(抗告中)段階での不実施について原告(父)からの損害賠償請求を認めず、また、原告が審判記録中の書面を謄写して担任教諭や小学校当に郵送したことについて、プライバシー侵害で損…

松浦理英子「最愛の子ども」

長距離バス車内にて。 女子高校生の群像劇、若者の自意識、いくら鮮烈でももはやあんまり興味ないなあと思いつつサラサラと読んでいて、中盤、「あの人」のくだりで急にぐっときて(若者の生々しい生きざまより時間差をつけて振り返るこの部分の感じ!)、そ…

こだま「夫のちんぽが入らない」

怪作。こういうふうにしか生きられないものか?もうちょっと手前でなんとかして無難な人生になれなかったものだろうか??と思ってしまうけど、きっとそうなんだろうし、本人的に昇華できたからこうやって書けているんだよね? リアルには他人のことって、つ…

保坂和志「試行錯誤に漂う」

12月から半年かけて読んだ。いろんなことがあった半年であった。 「出来事や行為には現在という時点から前に向かうプロセスしかない。」「生徒根性」「山の向こうに山以上の何かがあるのではなく、山がある。山を見て人が山より大いなる何かを予感したのだ…