弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2017-01-01から1年間の記事一覧

判例タイムズ1438号 訴訟充実促進、外壁タイル、遺産分割、転倒事故、フェイスリフト、婚姻予約

・古閑裕二「審理の充実・訴訟促進の中興方策案」 「有効な求釈明がされないなどの理由により、当事者の主張がかみ合わないまま、相手方の主張に対する反論が繰り返され、その準備書面を、裁判所が無制限に陳述させているという批判」「もし、現代の裁判官の…

ジュリスト1510号 医療訴訟

・裁判官に聴く訴訟実務のバイタルポイント 医療訴訟(1) 集中部のデメリットを格別感じることはないとありますが、そりゃやってる方はそうでしょうけど、ユーザー側がどうかっていう問題として考えてほしいです。

南直哉、為末大「禅とハードル」

南師(呼び方!)は、自分のようなものの言葉に惹かれる人はあぶないというけどやっぱりぐっとくるのよね。ほんとぐっとくるな~南師はすごいなあ好きだ!と思いつつ、もし自分の子どもが南師だったら途中経過は母としてはつらいだろうなあなど。 例えば神を…

神林長平「フォマルハウトの三つの燭台」

だから内向的モノローグ系の作品はもう読みたくないんだってば、と思いつつ、最後の壮大感は好きでした。

YM「KSN」

読み切ってないし悪口なのでイニシャル化。 アタマ休めのSFを求めてなんとなく買ったけど描写の陳腐さに耐えきれず18%くらいまで読んで断念。ひどかった。 ビジネスの場面での登場人物のセリフがありえない感じないのとか、60代半ばのひとを「かくし…

伊坂幸太郎「AX」

最初は読んでも読んでも退屈な内容でどうしたかと思ったけど、最後はまあ伊坂だねってなりました。わかりやすいおもしろさを打ち出すのを控えているのかな、それとも恐妻エピソードが私にとって別におもしろく思えないだけなのか。

ジェーン・スー「今夜もカネで解決だ」

ほんとにやわらかいものしか読みたくない精神状態で(今回の更新群に文句が多いのもこのあたりがなんかあるのかもだけど)。こんなジプシー状態にならないで決まったところに定期的に通えばいいのにとしか思えなくて、こういう自虐風味の、わかっちゃいるけ…

野島梨恵「私の愛すべき依頼者たち」

内容的には普通にフムンというか中村先生の前説の言い当てっぷりがさすがと思いつつ、めんどくさいとか自分の仕事の範囲はここまでとか、依頼者層が読むとどうかと思いそうな微妙なことをすごく正直に書くのね…。

国谷裕子「キャスターという仕事」

判例時報2332号 産科事故

高知地裁平成28年12月9日判決 時系列の別紙を略されちゃってるせいで分娩年すらわからない掲載方法はいかがなものかと思いますが、よく読むと、2011年ガイドライン発行のおよそ2ヶ月後が分娩日のようです。ガイドラインの規範性が争われ、認められ…

論究ジュリスト22号 教育と個人情報、菅野労働法、表明保証

・特集 教育と個人情報保護 ・菅野和夫先生に聴く 最高裁判決獲得の背景など。 ・表明保証条項違反を理由とする損害賠償請求訴訟 表明保証の法的拘束力の根拠を合意(損害担保契約)、典型契約の付随効果(瑕疵担保責任の特約)のいずれと見るか。表明保証違…

金融法務事情2071号 濫用的会社分割

・濫用的会社分割・事業譲渡の実務と法理

二弁フロンティア2017年8・9月号 時間外手当

残業代請求事件対応の基礎と最新実務~使用者側から~

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第7回)

裁判所|裁判の迅速化に係る検証結果の公表(第7回)について 判タの「争点整理手続における口頭議論の活性化について」のようにごまかして書くことなく、裁判所が事前準備を十分に行うべきことを指摘しているので好感を持ちました。統計ですが、件数が多い「…

中井久夫「いじめのある世界に生きる君たちへ」

大人に相談することは最後の尊厳を明け渡すことだからできないというくだり。 人は誰でも子どもでも持っている尊厳意識。私の胎から出ただけの何者でもない子でも、いつの間にか自分なりの侵すべからざる尊厳意識を持っているのだなーと不思議に思うことがあ…

河原理子「フランクル夜と霧への旅」

フランクルの立場の難しさ、告発しないこと、新訳誕生のくだり。

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

ハードSFと叙情と哲学と信仰と! これがデビューからの全作品集というのがすごい! そして特に、「地獄とは神の不在なり」。信仰とは神の実在ではなくその不条理さを受け入れることという本質がSF的手法によってきわめて巧みに表現されています。いるか…

沼田真佑「影裏」

マイノリティとかはちょっとした味つけでそんなに取り上げることだろうかと思えて、語りの加減が、語られないけれど影のように浮かび上がる事情とか、絶妙。

三砂ちづる「死にゆく人のかたわらで ガンの夫を家で看取った二年二ヶ月」

主張部分はアレレ?という部分も多いので、そういう前提で。

藤子不二雄A「トキワ荘青春日記」

正月に実家で原稿落としまくってというダメっぷりと、ほされてからの復活。

松永正訓「運命の子トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語」

倫理は思弁ではない、行動である。

ダニエル・オーフリ「医師の感情 平静の心がゆれるとき」

医療過誤事件を扱う弁護士として、医師の責任と弁護士の責任の相似と相違はよく考えるし、考えながら読みました。弁護士の描かれ方に、反省もあったり。

小島慶子「るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記」

オーストラリアに住めばいいんじゃない?とひらめく瞬間のひらめき感がまぶしく、すべてを言葉にせずにいられない業のふかさがつらそう。読み切りと連載、絆と溝。

家庭の法と裁判10号 不貞慰謝料、面会交流、遺産分割

・「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析(1)」 ・東京高裁平成28年5月17日決定 別居中で子を監護している妻が夫に対して求めた面会交流申立を却下した原審判を取り消して、差し戻した高裁決定です。妻は夫の勤務先に押しかけたり、子の汚物の写真を…

判例タイムス1436号 争点整理、時間外手当、高額所得者の婚姻費用

・「争点整理手続における口頭議論の活性化について」 口頭議論が活性化されていない理由が6コあげられてますが、「裁判官が記録を読み込めていない」ってはっきり書いてない(挙げられている「裁判所が十分な時間をとることができていない」って期日の所要…

判例時報2330号 養育費減額

東京高裁平成28年7月8日決定 公正証書により合意された養育費について、再婚相手との子の出生という事情変更により減額を認め、標準算定方式による金額に公正証書による合意の趣旨を反映(もともと算定表より高くなっている部分を固定額として、再婚相手…

日本弁護士連合会「日弁連研修叢書現在法律実務の諸問題 平成27年度研修版」「日弁連研修叢書現在法律実務の諸問題 平成26年度研修版」

山田知司「控訴審の審理と主張立証のあり方」(平成27年度版)と森野俊彦「最新版民事控訴審における主張と立証」(平成26年度版)を続けて読みました。 ・ 山田「控訴審の審理で争われているのは原判決ではないはずです。それに私の感覚でも、原判決が…

ケース研究329号 財産分与、対応困難者

・「財産分与に関する覚書」 東京家裁の財産分与の実務について。要チェックです。 退職金について「従前は、退職までに相当間があるような場合には分与対象とならないかのような議論があり、かつそれが有力であるような文献が散見されたが、現在の実務では…

金融法務事情2068号 弁護士受任と時効

東京地裁平成28年7月29日判決 債務整理の受任弁護士からの方針の回答が「民事再生か任意和解」というものでも、時効中断事由たる債務の承認とはならず、受任弁護士の放置による時効完成を受任弁護士自ら援用する場合でも信義則違反といえないという裁判…

判例時報2329号 未到来の養育費と仮差押

最高裁平成29年1月31日三小法廷決定 公正証書による養育費の支払期限未到来分を被保全債権として不動産に対する仮差押を却下した原審判断を是認した最高裁決定です。