弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

辺見じゅん「男たちの大和」

映画を見たので、原作を読んでみました。こんなことが、たった60年前のことなのですね。


以前、ある経営者の方の債務一覧表をつくる作業中、「ここに挙げたものが全てですか? 借りたものでも何でも、支払わなきゃならないものは他にありませんか?」とたずねたところ、“むかし、馬で丸太を曳く仕事をしていたとき、誤って馬を谷底に落として死なせたことがあったが、馬主への償いをしないまま今まできてしまった”という話しをされたことがあります。
馬で丸太を曳くなんて言われると、私にはそのイメージはとたんに「まんが日本昔ばなし」の世界、みのかさかぶって…という感じになってしまい、目の前のこの方と結びつかず、不思議な気持ちになりました。
馬をつかってはたらく時代(実際は「まんが日本昔ばなし」とは違うのでしょうけど)と今との連続性が、この方を通じて私の目の前にあると感じました。


いま、自分が日常としている世界は、にわかなものにすぎないということを思い、↑の馬の話しを思い出したりしたのです。