弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1913号 見落とし認容・鑑定を排斥

新潟地裁平成17年2月25日判決
平成13年当時36歳の患者がウイルス性髄膜脳炎で死亡したことについて、診断・治療遅れの過失を認めた事例です。
頭痛、発熱による外来通いを続け3日目で入院、項部硬直、ルンバールで異常値。入院4日目で排尿困難から尿カテ使用、入院7日目に意識障害、8日目に転院。転院翌日死亡という経過です。
入院4日目の排尿困難をとらえて、脳実質病変(ウイルス性脳炎)を疑うべきで、その鑑別をしつつ、確定診断前にも抗ウイルス剤(アシクロビル)を投与すべきであったという判断です。
鑑定は注意義務違反を否定したようですが、それを「鑑定は、一般の内科医に要求される医療水準を過度に低く評価するものであるといわざるをえない」と排斥しています。