弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

ジュリスト1306号 不動産・破産

・「不動産をめぐる権利関係の裁判所による決定(下)」
今回は、法定地上権、共有物分割、囲繞地通行権と、またマニアックなところを。
不動産関係では、裁判所が当事者間の法律関係を形成しなければならない場面が色々とあるわけですが、その手続としては、山本先生のまとめ発言にあるように、通常訴訟(賃料増減)、形式的形成訴訟(共有物分割・境界確定)、借地非訟(借地条件変更等)と切り分けられています。それらの実務のあり方や比較、問題提起など、興味深い内容でした。
・「新破産法の基本構造と実務第10回」
今回で手続編が終わり、実体編に入っています。
配当方式について地方色があることが紹介されています。
本当に、破産手続は地方によって違うみたいですね。
旧法時代ですが、大阪地裁に法人破産を申し立てたことがあって、当地とずいぶん違うことに驚きました。
別除権者の配当参加に関し、別除権協定で被担保債権額を変更した場合の登記の要否、根抵当権に基づく配当参加に関し、複数根抵当権があるときの不足額確定の基準、配当後に被担保債権が極度額を下回った場合の調整の要否、被担保債権の弁済充当の方法と、ぶつかったときに悩みそうな問題について議論されています。
実体編では、継続的給付の55条関連。
たしかに、一般に説明されている「ライフライン」のためという制度趣旨と、55条の規定ぶりとが異なる、つまり「ライフライン」に限定した条文となっていないことから、実際に事件を受けてみると、これはどうなんだろう??と悩む問題が出てきています。