弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例タイムズ1196号 セクハラ認容例

福岡地裁平成17年3月31日判決
薬局の男性経営者が女性事務員に肉体関係を迫る等のセクハラをし、あげくに解雇した事案です。
これまでの裁判例と比較すると、行為態様のわりに認容額が高く(500万+60万)、また、これは金額的には一部認容なのですが、「全額認容の余地も見方によってはあり得ないわけではない」等として訴訟費用を全額被告負担としています。
読んでみると全体的に伝わってくる、なんというかとても理解のある事実認定・評価の姿勢が特徴的です。


学生に講義をする機会がたまにありますが、セクハラや離婚の裁判例の紹介をして感想をきく場面などで、若い人の心のナイーブさに内心驚くことがあります。
私でさえ驚くのだから(?)、年配の男性などではとうてい理解不能な世界もあろうと思います。
この種事例に関わるときは、判断権者や相手方本人、代理人との感受性のギャップを埋めるところが本当に難しいところです。