弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1919号 低髄

福岡地裁行橋支部平成17年2月22日判決
交通事故による低髄液圧症候群発症の損害賠償を認めた事例です。交通事故と低髄の因果関係を認めた初めての判断事例とのこと。岡口裁判官の判決です。
原告は大学卒業後半年ほど就職したものの母の看病のため仕事を辞め、母と2人暮らしで家事従事していたが、事故から約2ヶ月後に母が亡くなり1人暮らしとなった、ということで、休業損害としては、母が亡くなるまでの約2ヶ月分のみ、労働能力喪失率70%で認められています。1人暮らしになってからの休業損害は、他人のための家事従事をしていないからとして否定されています。
でも、原告の年齢が分かりませんが、看病を要する母が亡くなったうえでは、いずれ働くべき人なのではないでしょうか?? 就労の蓋然性があるとすれば休業損害認めてよいのでは。
現在も低髄の症状は残っているようですが、後遺症については原告から主張されていません。低髄の後遺症、労働能力喪失率をどのくらいにみるかに興味があったのですが…