2006-01-01から1年間の記事一覧
やはりこの人はこういう不穏なかんじを書くこともできる毒のある人なんだとわかって安心した気持ちです。 「東京タワー」とかみたいに毒が感じられないと、こういうのが本当にかっこいいとステキだと思ってそう思わせたくて書いてるんだろうか??と疑問を感…
会社法規則の特集が凄いです。研究者の怒りが大爆発。 上村達男先生は「私はこのたびの新会社法による数々の概念破壊は、官僚が鉛筆舐め舐め由緒ある町の名前を勝手に変えた、かつての町名変更に匹敵する蛮行のように思えてならないのである。」と。
「転がる香港に苔は生えない」の人です(これは読んだことないのですが)。 ショートエッセイ集、と聞くと、女性誌に見開き1頁で連載したのをまとめたようなものかなと偏見を持ちますがそうではなく、書き下ろしでショートエッセイが60コくらい、きちんと…
ナースが学ぶ「患者の権利」講座―アドボケイトになるための25の心得 著者の隈本先生からご恵贈いただきました。 医療従事者としてでなく記者としての体験から書かれていることもあってか、視点が医療界内部にとどまらず、専門職にとって普遍的な内容をもって…
和歌山家裁平成16年11月30日審判、大阪高裁平成17年10月11日決定(抗告審) 申立人母から相手方長男に対する推定相続人廃除が認められた事案です。 挙げられている事情をかいつまんで… ・相手方は自らが局長を務める郵便局で申立人に無断で申立…
破産法の対談、今回は多数債務者関係、特に、配当額が残債権を超える場合の処理について。 破産法104条の規律を前提に、主債務者が破産し、連帯保証人が債権者に100のうち80弁済した場合、手続開始時現存額主義ですから、債権者は主債務者の破産手続…
「ナルニア国物語」の人です。 この人のは、「ナルニア」以外では「神学的SF」という不思議なジャンルの「沈黙の惑星を離れて〜マラカンドラ」等「別世界物語」三部作をずいぶん前に読んでいて、この「顔を持つまで(旧題「愛はあまりにも若く」)」は読み…
最高裁平成17年12月6日判決 妻と離婚係争中の夫が、妻が監護している2歳の子を連れ去った行為について、未成年者略取誘拐罪が成立するとしたものです。 以下、骨子を。 ・夫婦は別居中、子は当時2歳 ・子が祖母に連れられて保育園から帰宅中であった…
ずっと前に姫野一気買いしたとき買っていたのですが、なんとなく読まずに残していました。 しかしなんで敬遠していたのか、人面瘡の古賀さんのつっこみのおかげでフランチェス子の痛々しさが中和されて(「人呼んでミツコ」や「喪失期」は痛すぎてちょっとと…
・東京地裁平成18年2月3日判決 仮眠時間の労働時間性について書いた流れで… マンション住み込み管理員の時間外手当請求について、不活動時間の労働時間性を否定したものです。 判決では、ビル警備員の仮眠時間を労働時間と認めた大星ビル最判を念頭に、…
年末あたりに買って半年以上かけて読み終わりました。司馬が書いてくれてたらなーなどと詮無いことを思いつつ。 終戦がたった60年前というのが、とても近い歴史と思えてならないのは、ここ何年か司馬ワールドにいて幕末あたりのことばかり読んでいるせいか…
こういうのだけじゃなくたとえばあえて別方向を挙げると中勘助「銀の匙」とかも含めて自伝が好きで、目につくと読むわけです。 これも特に思い入れもなく、ご経歴などよく知らずに読み始めたのですが、良かったです。林文子さんのときもそうですが、お礼を言…
「−たちまち湿る、シマコが開く、私小説。」 帯より。 この人の普通の小説は読んだことが無くて、こういうのばっかり読んでいます。 編集者のジミーちゃんと結婚したと思っていたのですが、ジミーちゃんはどうしちゃったのでしょう。 邪気のない笑顔の漫画家…
・東京高裁平成17年7月20日判決 ビル管理会社の警備員らが、仮眠時間等が労働時間にあたるとして未払賃金、付加金の支払いを求めた事案で、原審は仮眠時間の労働時間性を肯定して一部認容したのですが、これを変更し、労働時間性を否定した判決です。 …
「神の雫」のついでというかんじで貸していただいて、読み始めたときはここには書くつもりはなかったのですが、読んでみると意外にけっこうおもしろかったです。 で、亜樹直「神の雫」 “神のワイン”を求めて2人の男が火花を散らす!という漫画。ワインうん…
「新破産法の基本構造と実務第14回各種債権の優先順位」 今回も出ている、法制審で厚生労働省とか労働組合方面の人が“会社は賃金台帳作成義務があるから管財人は台帳により未払賃金を全て把握できるはず”と述べた、という話は各所で紹介されていますが、あ…
こういう本は普通なら買わないので、何かで紹介されていたのをみたのだと思いますが、どこでみて何を期待して買ったのか思い出せません。 訳文の問題なのか読みにくいことと、すこしだけは「ふーん」と思うような箇所はあったのですが、そのほかは全体的につ…
大阪高裁平成16年5月26日判決 交通事故により頸椎捻挫の傷害を負った被害者の精神的不調について、PTSD(素因減額10%)とした原審を変更し、DSM−Ⅳを厳密に当てはめてPTSDを否定した上で、精神的不調により症状固定から6年間14%の労働…
この人の「プレーンソング」とか「季節の記憶」とかとても好きなのですが、ではこの保坂さんという猫が好きで宮沢賢治も好きらしいおじさまと話しが合いそうかというと、どうもそういう感じはしないので、これまでエッセイは読まないできて、はじめて読んだ…
オースティンの「高慢と偏見」の続きを他の人が書いたものです。 このたぐいのもので、「風と共に去りぬ」の続編「スカーレット」を読んでとても納得いかなかったことがありますが、こちらは特に正編に思い入れがないので、うわーヤダーと思いながら楽しく読…
どういう作家でどういう話か知らずに、地下鉄に乗る前に適当に買ったのですが、良い感じでした。 主人公が屋上につづく梯子に1人でのぼりだすシーン、 (シータは木登り平気だよね) との括弧書きが挿入されるところにやられました。 この状況でこのセリフ…
・東京高裁平成17年10月27日決定 死亡保険金について特別受益に準じて持ち戻しの対象となるとした決定です。 最高裁平成16年10月29日決定「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間で生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底…
最高裁平成18年1月27日第二小法廷判決 平成5年当時81歳の女性が脳梗塞で入院中、MRSAに感染し死亡したことから医師の責任が問われた事案。過失を否定した原審を破棄差戻した最高裁判決です。 ●事実経過 平成4年12月末から発熱→ケフラール投与…
・東京地裁平成17年9月2日判決 ヤフーショッピングで業者がパソコン1台2787円と誤って掲載し、注文を受けたが誤りを理由に応じなかったということで、注文者が業者を訴えた事件。 本判決は、サイト上の商品及び価格の表示は「申込の誘引」、買い手…
「新破産法の基本構造と実務 第13回各種債権の優先順位」 租税債権について、改正の最大のテーマだったと振り返られていますが、実際、最大のテーマのわりには、使い勝手としてはダメダメな出来で、もうちょっと上手い整理の仕方はなかったのかと思います…
幕末ものを読むなら欠かせないものと思います。 大長編を読み尽くしつつあるので、これからは1冊ものを。 でもこのくらいのは3時間くらいで読んでしまうのであっけないのです。 大長編は、書きたいままに書いている感じでおつきあいが楽しかったのですが、…
家で飲んでるときに読む本と決めてゆっくり読んできました。 修道院の島アトスって何かで読んだおぼえがあると思えば、村上春樹「雨天・炎天」にもアトス紀行がありました。 写真が多く文字が少ないため、しらふで読むとあっけなさすぎるので、飲みながら読…
この人のを読むときはいつも、どういう読ませ方が狙いなのかと疑いながら、書かれたものを真に受けられない気持ちで読むことになります。 こういうあり方を描けるというのは、描かれる対象に対する客観的な視点があってこそだと思うのですが、対象を好ましい…
東京地裁八王子支部平成17年1月31日判決 褥瘡患者(92歳)に対する適切な栄養管理・感染症対策を怠った過失を認めたが、死亡(喀痰による窒息死)との因果関係を否定し、「相当程度の可能性」は認めた事例。認容額は慰謝料200万+弁護士費用30万…
小惑星の衝突による人類滅亡をひかえているという設定の連作短編集。 というと、新井素子「ひとめあなたに…」みたいですが、「ひとめあなたに…」では衝突まで1週間だったのに対して、ここでは衝突まで3年、しかも発表から5年経過時点、というひねった時期…