弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2008-01-01から1年間の記事一覧

手嶋龍一・佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」

読みかけを相当放置していたため今さら感がありますが。獣道のギョロ目と歌舞伎役者の流し目という下りにうっかりナルシシズムがのぞいてる感じ。

今枝仁「なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか」

自発的には読まなかっただろう本ですが、すすめられたので。時事ネタは苦手なので詳しいことは書きませんが、読んで良かったです。というか時事ネタが苦手なだけに、日頃こういう話題をあまり熱心に追いかけないので、ごく表層なイメージしか持っていなかっ…

判例タイムズ1264号 脳外説明義務

東京高裁平成19年10月18日判決 平成18年10月27日最判(脳動脈瘤コイル塞栓術の説明義務違反)の差戻審です。最判の枠組に沿って説明義務違反を認め、結果との因果関係は否定しつつも慰謝料800万円を認容しています。

判例時報1999号 刑務所国賠認容例

忙しいのと大長編を読み途中なのとそれ以外にも10冊くらい読みかけで放置中という次第で更新が途絶えていました。 ・熊本地裁平成20年1月15日判決 刑務作業による負傷で安全配慮義務を認めた裁判例です。

判例時報1996号 刑務所医療

仙台地裁平成19年10月16日判決 刑務所の健康診断の胸部XPで肺ガンを見落とした過失を認め国賠を認容した判決です。肺ガンと診断された(見落としを知った)のが平成17年、提訴が平成18年、判決が平成19年というのはずいぶんスピーディーだと思い…

姫野カオルコ「よるねこ」

これも一気買い後、数年放置していたもの。普通にうまいという感じ。これで既刊作品は全部読んだことになるかなー。

判例タイムズ1263号 遺留分と相続債務・倒産手続申立棄却

・民法判例レビュー判例評釈家族 福岡高裁平成19年6月21日判決 高裁判決も原審も金融法務事情にしか載らなかったようなので知りませんでした。遺留分権利者の負担する相続債務についての考え方を示したものです。遺留分と相続債務の問題は前から疑問だ…

姫野カオルコ「特急こだま東海道線を走る」

再読かどうか自信がないまま読み終えてしまったのは、いつものパターンの話しばかりの短編集だからか・・。いつものパターンといっても、嫌な男女の類型をあぶりだす非モテ怨念系の方ではなく、気を許すと関西なまりが出てしまう不器用な女性像系です。←この…

家庭裁判月報第60巻第4号 間接強制4例

婚費・養育費の間接強制を認めた決定例が4つ掲載されています(1日1000〜5000円)。

中野京子「怖い絵」

絵自体が怖いものもありますが絵解きにより怖くなる絵など。

田中森一・佐藤優「正義の正体」

アマゾンのレビューでは妙に評価が高いです。それぞれの本を読んでいるとそんなに目新しくないんじゃないかなと思いますが・・田中森一は率直に話している感じ、佐藤優はなんか距離を置いてるようにみえるけどいつもこんなふうかも。なかなかおもしろかった…

矢口敦子「償い」

ミステリってやつは・・どうしてそんなにも全てをつなげようとするのでしょうか。終盤、遺書の括弧書きでの無理矢理な説明が、妙にそこだけソードマスターヤマト的だと思いました。

メアリー・マイシオ「チェルノブイリの森―事故後20年の自然誌」

チェルノブイリ事故の立入禁止区域が豊かな自然の森になっているというルポ。皮肉な怖いはなしです。ちょっと取っつきは悪いですが(訳文がいまいち)類書はないみたいだし、よけいな傾向性も感じられないので読んでみたらいいです。

草薙厚子「いったい誰を幸せにする捜査なのですか。」

「幸せにする」とか言ってる時点でおかしいので、読んでもイライラするだけだろうと読む気は無かったのですが、先に読んだ人から意外とおもしろいと勧められて読んでみました。まあ言いたいことはわかりました。あと、たしかに思ったほどはイライラしません…

判例タイムズ1261号 事実認定、拘置所医療、遺言執行者

・対談「適正な事実認定をするための方策」 ・東京高裁平成18年4月26日判決 拘置所医療過誤認容例 ・東京地裁平成19年12月3日判決 遺言執行者の他の相続人に対する義務

草薙厚子「僕はパパを殺すことに決めた」

話題の本です。これは明らかにアウトだろうと思いますが、わかんないんでしょうかね。 マスコミ報道されるような事件に関わると、記録に出ている事実と報道内容が非常にかけ離れていることを知るわけですが、だからといって、記録上の事実をやみくもに世間に…

山口瞳「血族」

血族 (文春文庫 や 3-4) 再読のはずなのに全然思い出せないまま・・うじうじしてもったいぶっていて、こういうのはちょっと。

関川夏央「現代短歌そのこころみ」

主に歌人ごとにまとめた現代短歌史。おもしろい、こういうの好きです。あとがきにあるように、「短歌には門外漢だが日本語表現について日頃考えをいたしている者」の短歌論であること、「日本近・現代史を、それぞれの時代の文芸表現の推移」から再構成して…

半藤一利、御厨貴、原武史「卜部日記・富田メモで読む 人間・昭和天皇」

たいへんおもしろかったです。富田メモもその内容の多くは伏せられたままだそうです。

竹内正浩「戦争遺産探訪」

日本の一番長い日のスポットを歩いて回るガイドなど、このとおりに訪ねてみたい感じ。主義主張が無いのが良いところ。写真を参照させるときにページ数をちゃんと表示してないところなどは編集サイドの愛が薄いのではないかしら。

萩原健一「ショーケン」

妙におもしろかったです。たまに突然「ですます調」になる自由な文体が気分の緩急をあらわしてて良いかんじ。

半藤一利、保阪正康「昭和の名将と愚将」、将口泰浩「未帰還兵 六十二年目の証言」

[asin:4863060440:image:small] 文春新書の戦争振り返りものをこれだけ読めばネタがかぶってきます。それにしても愚将許すまじです。未帰還兵は知られないままの人もたくさんいたんでしょうと思います。

村上龍「特権的情人美食」

でもやっぱり村上龍は苦手ー。私の先入観どおりの村上龍っぷりでした。

レイ・ブラッドベリ「たんぽぽのお酒」「さよなら僕の夏」

名作「たんぽぽのお酒」に50余年ぶり!!!の続編。 「僕の夏」はちょっと難しめなところも・・・、もう1人の自分?との交信なんかは、えー、という感じでしたが・・・。10数年ぶりに「たんぽぽ」も再読して、むかしブラッドベリをとっても好きだったことを思…

判例タイムズ1259号 DV法

「東京地裁及び大阪地裁における平成19年改正DV防止法に基づく保護命令手続の運用」 改正DV法の運用、書式など(備忘として)

ジュリスト1352号 借地借家法改正

・特集第168回国会主要成立法律「借地借家法の一部を改正する法律」 事業用借地権の存続期間の上限が、「20年以下」から「50年未満」に引き上げられました。10〜30年と30〜50年に切り分けて規定され、他の類型との棲み分けなど、おさえなおして…

判例タイムズ1258号 転送が過失

・福岡地裁平成19年2月1日判決 ギラン・バレー症候群の患者を航空機で転送したことについて、転送判断それ自体及び転送時の呼吸管理の過失を認めました。ギラン・バレーという原疾患に照らし損害額の40%を控除しています。

民事交通事故訴訟損害賠償算定基準2008下巻

裁判官の講演は、減収がない場合の逸失利益、物損と慰謝料、12級・14級で表より高い喪失率を認める場合、施設入所中の重度後遺障害者の損害算定。あと、「映像記録型ドライブレコーダーを活用した事故分析と交通安全」の講演はおもしろかった。映像付で講演…

半藤一利「昭和陸海軍の失敗」「あの戦争になぜ負けたのか」「日本のいちばん長い夏」

座談会3点。「失敗」は組織論として今の組織の問題点に通じます。「日本のいちばん長い夏」は昭和38年時点の対談で、現時点でバブルを振り返るという程度の距離感です。歴史のことって、考えるといつも何ともいえない気持ちになります。

ケース研究294号 渉外家事

「渉外事件を巡る諸問題−グローバル化する家事調停への対応」 フランス人ケースのロールプレイや、管轄、準拠法、各国法制度、言語の問題、子の奪取の問題などなど。