弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報1918号 聾学校内暴力

神戸地裁平成17年11月11日判決
県立聾学校の生徒(ダウン症)が教師から暴行を受けて重篤な心身の症状を呈したことにつき県に対する損害賠償請求が認容された事例。
暴行自体は、打撲傷等をもたらす程度のものでしたが、被害者の特性もあり頑固なチック症状があらわれる等の症状が出ています。それについて、仮に原告が健常な中学生であればこうした心身症状との相当因果関係は否定されるとしつつ、ダウン症児という特性を前提とすれば相当因果関係ありと判断されています。
また、障害慰謝料、後遺症慰謝料を単純に積むと470万円程度であるとしつつ、「本件暴行が、過失によって生じる交通事故とは異なり、腹立ちまぎれに意図的にされた不法行為であることを加味し」として、520万円を認めています。