弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

家庭裁判月報第60巻第6号 養育費3題

東京高裁平成19年11月9日決定
養育費の減額を認めた原審を取り消し、減額の申立を却下した決定です。
「調停は当事者双方の話合いの結果調停委員会の関与の下で成立し、調停調書の記載は確定判決と同一の効力を有するのであるから、その内容は最大限尊重されなければならず、調停の当時、当事者に予測不能であったことが後に生じた場合に限り、これを事情の変更と評価して調停の内容を変更することが認められるものである」
・大阪高裁平成19年11月9日決定
養育費の終期の延長(18歳から22歳)を認めた原審を取り消し、申立を却下した決定です。
未成年者の大学入学が、養育費の終期の延長を認めるべき「事情変更」にあたるかの判断にあたり、それまで養育費減額の方向での事情変更(未成年者と再婚相手との養子縁組、支払義務者の再婚等)があったにもかかわらず、合意どおりの養育費が支払われ続けてきたという経緯をも考慮して、延長を認めなかったものです。
福島家裁会津若松支部平成19年11月9日審判
公正証書により定められた養育費について、義務者が再婚して子供が生まれたことから養育費の減額を認めたものの、義務者の再婚相手の育児休業が開ければ義務者の経済状況も改善するとして、減額を認める期間を義務者の再婚相手の育児休業期間に限った決定です。
なぜか3件とも同じ決定日です。