弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例タイムズ1469号 面会交流と要件事実論、不本意であるが真意

・「面会交流事件と要件事実論に関する一考察」

面会交流の要件事実…吉川さんがそんなこと書くの?!と驚きましたが、そうではなく納得の、要件事実「論」でした。面会交流の要件事実についてではなく、面会交流事件を要件事実で論じることの是非について。

面会交流の権利性は否定するのが判例・通説という指摘。

梶村論文がいうような、家裁の運用の実態があるかないか、あったかなかったか。残されている論稿とか書かれたものを見たってわかるわけがない。そういうものはただでさえカシコイ人たちが突っ込みどころないように書いてるのだから。いっとき、きわめて野蛮で雑な原則的面会交流の調停・審判進行があった、その時代を体感した者としては、あったんだよ!だからこんな言われてるの!と、この話題になるたびに言わざるをえません。ほかの裁判官がどんな進行してるかお互いには見えないんだから、わからないでしょうけど。しかし今はそうでもない、のはたしかで、そのことに果たした梶村論文の役割は多だと思います。そして今はその反動でか、面会親から見るともどかしい進行になることが多い、でしょうか。しかしまた逆に、「歩み寄りを促す」以上に、改心、回心を迫るような折伏するような、監護親の内心への踏み込みも、見るときあります。なので過去の文句をいつまでも言っててもしかたないのではありますがそれでも、関係者は原則的面会論とその克服?の歴史に学んでほしい、そうでないとバランスのとれた運用にはならない、と思うわけです。

東京地裁平成30年5月22日判決

退職時の清算条項(不起訴合意)の効力否定、退職合意の錯誤否定、退職勧奨の不法行為否定。「不本意であるが真意」のパターン。