弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

小松原織香「当事者は嘘をつく」

当事者は嘘をつく

「運動と当事者性」について、にも少し書いたけど当事者性のない運動、支援…弁護士業務も単なるシゴトではなくそれらの性質を帯びる…について。日ごろ取り扱う事象について当事者性なく関わっている者としてはギクリとしながら、何かを突きつけられながら、よくぞ言語化していただいたという思いです。そしてそういう者は、当事者の前において、自身は当事者でないことのわきまえ、また、当事者でなく関わるゆえの赦されなさを抱えることの覚悟も要しつつ、それはそれで果たせるつとめはあるはず。
・被害者と加害者の瞬間的で魔術的な共同性
・被害者の内側に滞留している犯罪の経験
・学問的な探求の結果得られた、断片的で抽象的な言葉が、まったく別の場所で生き延びている誰かの支えになることがある。
・無力感を反転させるための能動的な行為としての赦し→これがそれではあんまりだ
・死にかけている場合ではない
・真実より先にある物語
・赦しは回復の言説の外側にある
・回復するだけがサバイバーの人生だろうか。私たちの生はもっと多様で豊かな世界に拓かれているのではないか
・介助者手足論、われらは愛と正義を否定する
・当事者は「そういう生きもの」
・わかってほしい、と思うのは支援者がわかってないから
・加害者を赦すことよりも支援者や研究者を赦すことのほうが難しい(!)
・わからない人たちと生きていくしかない
・そんな奴(後世の研究者)は来ない。他人に期待するな、前に進むしかない

 

追記2023/01/12

当事者が支援者に求めるものについて、この問題意識ともつながる。