弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

家庭裁判月報第61巻第4号 妻の潜在的稼働力、相続人廃除

・大阪高裁平成20年10月8日決定
婚費算定にあたり、無職の妻について潜在的稼働能力を考慮すべきという主張を排斥した高裁決定です(この点は原審も同じ)。
「潜在的な稼働能力を判断するには、母親の就労歴や健康状態、子の年齢やその健康状態など諸般の事情を総合的に検討すべきところ、本件では、相手方は過去に就労歴はあるものの、婚姻してからは主婦専業であった者で、別居してからの期間は短いうえ、子らを幼稚園、保育園に預けるに至ったとはいえ、その送迎があり、子らの年齢が幼いこともあって、いつ病気、事故等の予測できない事態が発生するかも知れず、就職のための時間的余裕は必ずしも確保されているとはいい難く、現時点で相手方に稼働能力が存在することを前提とすべきとの抗告人の主張は採用できない。」
文献では、無職の当事者について潜在的稼働力を評価するのが原則であるように述べるものもありますが、原則とまで言い切れないだろうと思います(特に、妻側の潜在的稼働力を認める例はあまり見ないように思います)。ただ一方、本件判断にあたりこれほど細かい事情が拾われていることからみても、事案によっては、妻の潜在的稼働力の主張が認められることもありうるだろうとも思います。

以下三件、推定相続人の廃除を認めた決定です。
福島家裁平成19年10月31日決定
被相続人(母)の介護を放棄し、父から相続した財産を売り払い、所在不明となった等(遺言執行者申立)
京都家裁平成20年2月28日決定
服役を繰り返し、申立人(父)に被害者らへ謝罪や弁償等の負担をかけた等(生前申立)
神戸家裁伊丹支部平成20年10月17日決定
借金を重ね、被相続人に取立がきたり2000万円以上を返済させるなど20年間にわたり苦しめた(遺言執行者申立)