弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子の読書日記

家庭裁判月報第62巻第11号 婚姻費用について

・「婚姻費用分担事件の審理 手続と裁判例の検討」
阪高裁部総括判事による検討です。大阪高裁管内の未公刊裁判例も多く紹介されており、算定表の副読本として要チェックです。論点としては、婚姻関係が破綻している場合に婚費分担義務を軽減すべきかどうか(軽減させる裁判例を紹介しつつ、筆者は消極見解)、有責配偶者の婚費請求について(軽減の是非、程度、有責性の審理方法)、分担の始期(実務は請求時以降が多数としつつそれより遡るのはどのような場合か)、イレギュラーなケースの収入の認定方法、住宅ローン、教育費(高校無償化について。結論は考慮不要)、医療費の考慮、高額所得者の場合。
東京高裁平成21年9月28日決定
婚費支払義務者が課長になり残業代がつかなくなっても、昇進後の年収が実際にどうなるか予測困難として、昇進前の年収(前年分の年収)に基づき婚費を算定した決定です。原審判維持です。
・大阪高裁平成22年3月3日決定
歯科医である婚費支払義務者が勤務先を退職し、大学の研究員となって収入減少したとして申し立てた婚費減額申立に対し、以前と同程度の収入を得る稼働能力があるとして、事情の変更を認めず申立を却下した決定です。6万円から1万円への減額を認めた原審を取り消したものです。