弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報2569号 同性間の不貞行為

横浜地裁小田原支部令和4年4月26日判決

(元)妻の女性との不貞行為に関する夫から女性への慰謝料請求について132万円を認容。妻が証人に立って既破綻的な主張をしたことは結論としては容れられていませんが、原告が本件の尋問期日に長女を同行して傍聴させたことから、原告の妻に対する言動が、妻において自分の心情を十分に配慮してもらえていないと感じさせるものであったことが推測され、妻が原告との婚姻生活の各場面において苦痛を感じるようになっていたことは否定しがたい、という指摘があり、「そういうとこだぞ」と思う次第です。

ギャヴィン・ディー・ベッカー「暴力を知らせる直感の力」

・法律違反による逮捕は「法制度」対「法律違反を犯した男」の関係であるのに対し、禁止命令違反は「虐待者である男」対「妻」の関係。だから虐待者に対しては、あらゆる罪状を見つけて訴追するほうが、禁止命令を取るよりよい。

・問題は安全の確保にあって、正義にあるのではない。

・ここには正義を求めて来ないでください

・なにかを恐れているということは、そのなにかがまだ起きていないことのたしかな証拠である。恐れているのが、恐れていると思っていることである場合は少ない。恐れているのは、恐れに結びついていることである。

・恐怖の信号に反応している(自発的ではない)or心配しているだけ(自発的な反応)

・心配は「選択」、それがその人の役に立つから。断る口実、言い訳…。心配には目的がある。心配は問題の解決には結びつかない、それどころか妨げになるかもしれない。

・心配することは自分の選択であり、副次的な目的は、心配していればものごとを変えなくてよい、自分の無力さを認めないでいられる(祈りのほうがはるかに生産的)、人との関係を維持できる(愛や愛をあらわす行動のお粗末な代用品)

・恐怖と苦痛は人生にあってもしかたないが、心配と苦しみは不要

・恐怖を感じたら耳を傾ける、恐怖を感じないときはそれを作り出さない、なにかが心配なときはなぜなのか理由を探って突き止める

・異状がないことをたしかめる、ではなく危険を見つけようとする

・本物の恐怖と違い、不安は不確かさから生まれる。

・危険は雷雲のなかにだけあることを知り、晴れ渡った青空のもとでは大いに人生を楽しもう

暴力を知らせる直感の力 ──悲劇を回避する15の知恵

判例タイムズ1512号 訴状記載の住所

東京高裁令和4年4月19日判決

弁護士である原告の訴状記載の住所(民訴規則2条1項所定の「住所」)について、事務所所在地でよい。当事者の特定は他の者と識別することができる程度の特定、住所は居所、最後の住所、所属する事務所の所在地等によっても特定することが許容される場合がある、と。秘匿制度を用いず旧住所でいきたい場合に援用できる?

こころの科学 232号 マイ・スリーハウス

・「児童相談所は子どもの声をどのように聴こうとしているのか」

マイ・スリーハウス しんぱいの家、よいことの家、ゆめ・きぼうの家

・「離婚のプロセスで子どもの声を聴く」

・「人生後半のアタッチメント」

こころの科学2023年11月号 通巻 232号 [特別企画]子どもの声を聴く ——支援の現場から「子どもの権利」を考える