弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2015-01-01から1年間の記事一覧

松本麗華「止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記」

特殊な境遇に置かれた人の自分探しの記ですね。現在進行形の探し中で体験が昇華されていないので、読後感はよいものではありません。ご健勝を、というところ。

自由と正義2015年3月号 ジェンダー

「弁護士のジェンダーとキャリアに関する研究の視点の検討」 感覚的にそりゃそーだろと思うようなことでも、統計的に言わねばとなると難しいものですね。結果や分析について感覚レベルではいろいろ思うところはありますが差し障りがあるので以下略。 そして…

中村直人「訴訟の心得」

一般民事事件は「スコープから外している」というので気後れしつつ読みましたが、それはむしろご謙遜というか何なのか?私のような者にも十分以上に参考になる内容です。 そして「楽しい訴訟」「戦(いくさ)系の弁護士」などなど、中村節が痛快。 立証度に…

本田由紀「もじれる社会: 戦後日本型循環モデルを超えて」

「育休世代のジレンマ」を一緒に読んだ人が、そこで何度も参照されていたからと勧めてくれたのが本書。いちいちがごもっともで蒙を啓かれる思いです。 「ハイパー・メリトクラシー」「ジョブとメンバーシップ」「戦後日本型循環モデル〜教育・仕事・家族」「…

須田桃子「捏造の科学者 STAP細胞事件」

読んだときはちょうど、個人的でも仕事上でもない、とある人間模様に、あ〜あ、どいつもこいつも!とくさくさしていたところだったのですが、まあこの状況よりよいよなとスッキリしてしまいました。「弁護士転ばぬ先の経営失敗談」といい、下を見て満足する…

北周士「弁護士 転ばぬ先の経営失敗談」

弁賠つかう場合のお作法など実践的に参考になる部分もありつつ、特に私は冒頭の数事例を読んだだけで深い安らぎと癒しをおぼえ、そのとき抱えている鬱屈がキレイに、そのことについてはもう何も思わないレベルにまで昇華されたのでありがたい読書でした。オ…

金融法務事情2012号 特別縁故者

高松高裁平成26年9月5日決定 全身麻痺で介護付施設に入所中に死亡した被相続人につき、入所先施設を運営する一般社団法人を特別縁故者として相続財産全て(約1900万円)を分与するとした決定です。申立を却下した原決定を変更。

二弁フロンティア2015年3月号

「弁護士会におけるクオータ制と憲法・国際法」 「村木厚生労働事務次官×会長スペシャル対談」 スペシャル対談も、クオータ制ほか男女共同参画について。

弁護士法人マイタウン法律事務所「男の離婚術」

ご相談者文庫用に購入。記載内容が必要・十分にして、非現実的であったりダークサイドであったりしない(←という言い方もヘンですが、弁護士でない著者の場合にそういうものを見受けるので)、良書でした。男性の方にはオススメです。

加藤新太郎「リーガル・エクササイズ―裁判官から見た「法と社会」「事件と人」」

カトシンは座談会で弾けている方が輝いていると思います。 名の変更事件については、同種の氏or名変更事件があったら書証に出したいような感じがします。氏の変更についてイヤに判断が固い家裁もあったりしますから。

若松英輔「生きる哲学」

生きる哲学 (文春新書)作者: 若松英輔出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/11/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る衒学的&自分に酔った男調と紙一重の文章…好きなのか食傷するのか私的にはギリギリの若松映輔氏です。 文章から膨らむ想…

小磯修二「地方が輝くために――創造と革新に向けての地域戦略15章」

講演を聴く機会があってけっこう良かったのでご著書を読んでみました。学者さんの格調高い本をたまに読むと新鮮で、もっともっと勉強したいような気持ちになります(なるだけ…)。 冒頭、自分がいまちょうど考えていたようなことが書かれてあって、そのこと…

堀江貴文「我が闘争」

私はビルドゥングスロマン好きなのでこういうのはもとより大好物です。 「今、やるべきことをやることしか、幸福になる道はない。」 というわけです。

保坂和志「朝露通信」

保坂の新作ということで期待が過ぎたのかもしれませんが、ちっとも良いと思えなかった〜(ToT) 新聞連載ということもあってか、これまでより色々なとこで書評を見かけて、どれもいいふうに書いてあったのに… なんで良いと思えないかは自分なりの仮説はあるの…

金融法務事情2008号 債権法改正

「債権法研究会報告第1回 消費貸借」

NBL1040号 引用作法

原秋彦「法務文書における引用の一般的作法」

判例タイムズ1406号 成年後見

「成年後見人の職務権限に関する研究会」 この号は論文のタイトルに工夫がなさすぎてどうかと思います。普通、「裁判所の視点から」などのサブタイトル的な言葉を補うのではないでしょうか? 別の論文のページ数も間違ってるし… 小西論文は、問題検討にあた…

神山典士「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」

S極とN極の出会いの悲喜劇。おもしろかったです。

伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」

寓話系ではなくライトに普通におもしろい方の伊坂です。後味のこらず。

江國香織「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」

児童文学っぽいけどありがちな思わせ不思議ぶりっこではなく。お得意のひたむき感のある恋愛と狂気と。子どもであることの不自由さ。結末の不意打ち!かなりよかったです。

官澤里美「弁護士業務の勘所 ~弁護士という仕事をもっと楽しむために~」

amazonのレビューは不当に辛口と思います。業務部分は全体的にちょっと理想高いめの普通のことが書かれていると思いますが、その普通の理想の高さを一貫することに価値があるのでしょう。また、経営部分は法律事務所としては変わったところがあるかなと思い…

第一東京弁護士会法律相談運営委員会「実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談―専門弁護士による実践的解決のノウハウ」

成書でなかなか書かれないようなちょっと踏み込んだことも触れてあり、新しいひとのお勉強向けにもよいですが、だいたい分かってるわいと思うひとの読み物にも有益でした。