弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

単行本

東直子、穂村弘「しびれる短歌」

吉村昭「三陸海岸大津波」

保坂和志「ハレルヤ」

また猫の話、猫のことはほんと興味ない派なんだけどと思うと発売されてもすぐには手が伸びず、今ごろ読みました。しかし「ハレルヤ」の「キャウ!」のくだり、Amazonの内容紹介で「キャウ!」と鳴き声が引かれているのを、キャウがどうした、猫の鳴き声なん…

穂村弘「短歌の友人」

自虐ぶりっこみたいなエッセイと芸風がちがいます。

多和田葉子「雪の練習生」

なにこれ、なにこの本、すごい叙情! この著者ははじめて読んだけどほかのもこんな? ほかも読んでみたい。すごくよかった。 (これこそバカッぽくしか書けない感想)

ナディア・ムラド「THE LAST GIRL」

まさかと思いつつ過ごしている日常が反転すること。勇気と偶然と善意と犠牲の脱出劇。

曽野綾子「人間にとって病とは何か」

朱門さん亡き後の暮らしぶりがすこし書かれています。猫とお暮らしだそうで(また猫!) お一人になっても意気軒昂。

瀬戸内寂聴「いのち」

だいぶお弱りになったなあ、これが作品として成立していると思って?文章のゆるみ…。曽野綾子さんと比べるのも変だけどたまたま続けてよんだので、でも9歳違うとこれくらい…?

柳田国男「婚姻の話」

昭和20年前後に、日本の婚姻習俗をさぐっている本書。日本古来の、というものの言い方がいい加減なものであるということ、でも分析の観点自体には時代からの限界がある、そのあたりは解説の上野千鶴子先生が引き締めてくれています。

田村一夫「公務員が議会対応で困ったら読む本」

公務員でもなければ議会対応もしませんが、たとえば外部委員としての私に対応する事務局はどんな思考回路で?みたいな観点で読むとまたおもしろい。こんなこと公刊物で実名で書くんだ!というような赤裸々トークです。

仲野徹「(あまり)病気をしない暮らし」

「こわいもの知らずの病理学講義」の二匹目のドジョウといったところ。既にある連載をまとめたものなので、まあ。

大竹文雄「医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者」

「死すべき定め」「決められない患者たち」など思いだしつつ、日本の実情として。

宮澤賢治「注文の多い料理店」

小学校の読み聞かせボランティアにて。今回は「注文の多い料理店」のかみしばいを。いちばんうしろでだらりと座っていた1年生の男の子が、「ぼくらはしんしだから、みだしなみをよくしなくちゃ。」というフレーズとともに、正座をして背すじをのばしたのだ…

河合隼雄「河合隼雄のカウンセリング教室」

・時間がきたら帰ってもらわないといけないとはっきり自分が思って、そこにすっと一緒におりますと、だいたい帰られます。 ・私がその人の苦しみを本当にわかっているということと、人間というものは残念ながらある程度は常識に従わないと生きていけないとい…

内山章子「看取りの人生 後藤新平の自治三訣を生きて」

ご家族全員を見送ったからか愛憎も越えた淡々とした筆致ですが一族の黒子として光が当たらない生涯、お気の毒すぎます。

岡本茂樹「反省させると犯罪者になります」「いい子に育てると犯罪者になります」

どうしてこうなのかと言ってもしかたがないので、かくある姿がありのままなのだと受け止めるところからしかどこにもいけないのだと、いろんな場面で思うわけで、そういう本です。

花田菜々子「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」

おもしろい冒険談。そしてわたしも勧められたい。ライトノベル臭がなくて視野狭窄な一人語り調じゃない叙情的SFを!

NHK取材班「ルポ消えた子どもたち虐待・監禁の深層に迫る」「なぜ、わが子を棄てるのか赤ちゃんポスト10年の真実」

春日武彦「待つ力」

待つ力!という1ネタでぐいぐい押してきた感じ。太宰の「待つ」とか言及してくれてたらなあと思ったり。

岸見一郎「成功ではなく、幸福について語ろう」

末盛千枝子「私を受け容れて生きる 父と母の娘」、美智子「橋をかける」

人から勧められて。こういうのを勧めてくれることってほんとうにすばらしいなあ!ってことも含めてとにかくすばらしいです。乱暴にたとえるなら須賀敦子をさらに凝縮したような味わいのある文章と人生。そして美智子さま。根っこと翼、そして橋。弟橘の物語……

辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」

淡々とした筆致がかえって胸に迫る、収容所の過酷な日々、戻れなかった人々の無念さ、遺書や詩が残されたことの尊さ。

齋藤陽道「異なり記念日」

手と目で「看る」。まなざしの力。

小島慶子「大黒柱マザー」

自縄自縛する固定観念に自ら気づいて外すことの意味。そのときその場での最善の選択。

伊藤詩織「ブラックボックス」

アトゥール・ガワンデ「死すべき定め-死にゆく人に何ができるか」

年末くらいから、読みさしては間をあけてまた最初から読むということを3度くらい繰り返してようやく読了。読みすすめられないのにはわけがあったのですが、そのわけのこともまあどうにかすぎたので…。こういうのは、自分も周りも元気なときにこそ読んで貯め…

俵万智「牧水の恋」

歌人って…残された歌をみれば我ながら考えればわかりそうなものとは思いつつも、こんなにも自分の色恋をリアルタイムに歌として雑誌に発表してるのがまず驚き。プライベート筒抜けじゃないですか。相手の身にもなってくれ。小枝子さんはそういうのどうでもよ…

中井久夫「こんなとき私はどうしてきたか」

治るとは病気の前よりよくなること プロ的エレガンス きみも大変だね。ほんとうは大丈夫なんだよ 弓は満々に引き絞って放つ 暴れるのはエネルギーがないから 疾病利得 せっかく病気をしたのだから少しはいいこともなくちゃ 「次の患者が待っているから立ち直…

吾妻ひでお「失踪日記2アル中病棟」

前に失踪日記本体も読んでいたのだけどここには書いてなかったですね。おもしろくて一気読み。 ちなみに私はずっと機会飲酒の人になりたいと願ってたのですがそれがこのごろ叶いつつあり、何でもないときに家では飲まない日々となってます。カフェインを断っ…

先崎学「うつ病九段」

「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ」