弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

2018-01-01から1年間の記事一覧

青木晋編著「人事訴訟の審理の実情」

必携でしょう。 明示されている加筆部分のほか、「東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情第3版」と比べてみると、注6の原告住所地の管轄の経緯についての論調が強くなっていること、東京家裁では和解離婚時の当事者の出頭を必ずしも求めていないこと…

金融法務事情2089号 遺言執行、信託、財産分離

・中田朋子「相続法改正により遺言執行・遺言作成はこう変わる」 相続法改正の実務への影響がまとめられています。改正前でも活きる技(成書でここまで書かれるのは見たことないような!)がふんだんに紹介されています。 ・渋谷陽一郎「金融機関からみた民…

加藤幸雄「講義録 医療事件における弁護活動の在り方について 的確な認定・判断を得るためのささやかな工夫」

裁判所の審理体制の弱体化、劣化がありはしないか!

春日武彦「「治らない」時代の医療者心得帳 カスガ先生の答えのない悩み相談室」

そしてまた春日先生。3精神科医の平行読み継続中です。 私は月イチで地元紙の電子版にコラムを載せてもらってるんですが、深淵な中井先生や鋭い春日先生を読んでると、もう既に世の中に出ているこれらに付け加えて私などが書くべきことは何もないだろうと思…

中井久夫、山口直彦「看護のための精神医学」

名著。深淵すぎる中井先生の言葉が、春日先生を補助線として読むとよけいに腑に落ちるような感じ。 ・医者が治せる患者は少ない。しかし看護できない患者はいない。(名言!) ・安定した看護、治療、相談は、「守秘義務をもった他人」だけができる。 ・だれ…

春日武彦「臨床の詩学」

春日先生は読んでいるとそうそうあの人もそうそうとかいろんな想念がわいてくるのが刺激的。こちらは春日先生ほど人間が練れていないので春日先生が繰り出す上手な悪口により重ね合わせた具体の人々への思いが言語化されてしまったものが自分の中でうまく消…

黒川祥子「県立!再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校」

家庭が機能しない状況の描写、おそろしいですがたしかにそうなのでしょう。それでも、希望のある物語です。

リチャード・ロイド・パリー「津波の霊たち」

出来事の描写だけで読ませる作品にはなり、実際そういうものも多いところ、本書は津波という出来事とそれにまつわる人々の具体を深めつつ、エピソードとエピソードの連関、対比の妙によって普遍・抽象に至る何かが取り出されています。 受け入れることと戦う…

判例タイムズ1446号 移送、子の引渡、養育費減額、子の監護引渡保全処分

・「民事訴訟法17条に基づく移送について 要件・考慮要素の検討を中心に」 移送は判断ぶれるときある感じがして見通しつけづらい印象があります。何か戦うときにつかえそうです。 ・最高裁平成29年12月5日決定 協議離婚で親権父となったが母が4年間…

三浦しをん「広辞苑をつくるひと」

いちおう読書好きってことになるのだろうだけど本自体への愛着はなくって、ハコなんて捨てる派なので申し訳ない。

論究ジュリスト25号 調査嘱託

「現代における裁判所の情報収集や裁判のための証拠等収集の在り方をめぐる問題」 インターネットの利用について。なんとなく議論がうまくかみあってない感。 調査嘱託について、出す側の立場を裁判所が比較衡量しているのかどうか? なんかそういう明示の利…

二弁フロンティア2018年5月号 就業規則

「就業規則の作成・改定を依頼されたときに役立つ労働法関連知識」

金融法務事情2088号 自筆証書遺言

東京地裁平成29年9月13日判決 姪に「すべてをまかせる」とした遺言で、姪の名に訂正があるが方式履践されていなくても、遺産全部の姪への遺贈として有効とした判決です。

佐藤雅彦「新しい分かり方」

「リーガルデザイン」と同時に買ってそのまま積んであって、そのときは格調高い?珍しいものを読みたい調子のときだったんだなあ。昼酒の友にしようと決めそういう午後を待ち、たのしく読みました。

水野祐「法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する」

たまに格調高い本を読んだという感じがします。 良い社会、豊かな社会とは。複雑な社会を複雑なまま受容する。

和田仁孝監訳「医療事故後の情報開示 患者・家族との対話のために」

読みづらいのを我慢してがんばって読んだいちばん最後に、「原文に厳格に忠実であるよりは日本語として読みやすい訳になるように努めた」とあるのを見てええ~?と思いつつ、それでもこういう分野を扱う人は読んでおくとよいでしょう。第9章のショートシナ…

金融法務事情2087号 倒産法

座談会 5つの重要倒産裁判例で考えるその射程と今後の金融実務 破産手続における開始時現存額主義と超過配当(最判H29.9.12)、無償行為否認の要件(最判H29.11.16)、第三債務者のさらなる弁済に対する偏頗行為否認の要件(最判H19.12.19)、自動車所有権…

石黒麻利子「医療事故に遭わない負けない諦めない」

調停時報199号 調停技法

・中川寬道「先輩からの戒め」 味方と思ってもらう必要はないが、敵ではないと思ってもらう必要はある。 絆を作るべきではないが、信頼関係は築かなければならない。 正否の判断は棚上げして、「相手と折り合えてあなたの望みがかなえられればいいね」くらい…

岡田裕子「難しい依頼者と出会った法律家へ パーソナリティ障害の理解と支援」

・そのような特徴を持つ人に適切な対応をするために学ぶ。 ・知ることによって気持ちの余裕が持てる。 ・依頼者の感情的な激しさに振り回されず、その背景を吟味する思考過程、客観的、多角的に考え感情的な距離をとる、冷静に客観視。安堵感。対応力。心理…

NBL1119号 裁判IT化

「IT化による民事裁判の未来像」

春日武彦「援助者必携 はじめての精神科 第2版」

家にあったのをなんとなくめくってたらどーしても線を引きながら読みたくなりそのまま我が物とし、すぐもう1冊買って償いとした本書。強く勧めます。 「Ⅰ手を出す前に考えておくこと」「Ⅱかれらの苦しみ」「Ⅲわたしたちの困難」という章題からしてしびれま…

NBL1117号 民法改正、システム開発

・「鼎談 改正民法の実務的影響を探る 定型約款」 定型約款に該当することのメリット→変更ルールの適用でデメリットはないはず。定型約款の該当性を限定的に解釈して従来の約款法理の世界に戻っていくのは残念。 ・「座談会 システム開発取引はなぜ紛争が絶…

ジュリスト1516号 民法改正

「民法改正と不動産賃貸借法 賃貸不動産の2つの側面を手がかりとして」 賃貸人の地位の移転と敷金の継承

NBL1116号 民法改正

「民法(相続関係)等の改正に関する要綱案」の概要

判例タイムズ1445号 間接強制、転落と施設の瑕疵

・東京高裁平成29年2月8日決定 審判で命じられた面会交流の不履行につき1回100万円を命じた原決定を変更し、30万円とした高裁決定です。抗告人(父)の年収は2640万円、子は13歳です。 ・東京地裁平成29年2月15日判決 グループホームの…

判例タイムズ1444号 説明義務

東京地裁平成29年2月9日判決 インプラント治療の説明義務違反を否定し、治療終了を通告して診療を拒否したことの正当な理由があるとして歯科医師の損害賠償責任を否定した裁判例です。正当な理由に関する事情として、患者の暴言、治療の進捗状況(最終段…

金融法務事情2085号 家族信託

渋谷陽一郎「民事信託と成年後見の選択と認知症対策」 民事信託、いわゆる家族信託が万能のように売り出されている向きがありますが、「民事信託の利用は、後見制度を不要とするような魔法の杖ではない。」 メリットデメリット、制度間の調整策など。

金融法務事情2084号 改正民法

民法(債権法)改正の要点 金融実務に関連する項目を中心に

ケース研究331号 遺産分割、面会交流

・片岡武「遺産分割調停運営における留意点」 特に、調停に代わる審判を利用する場面と、そのときの当事者への説明事項。不成立にするために必要なプロセス。 ・小澤真嗣「両親間の暴力や高葛藤が問題となる面会交流に関する米国の最新の研究と実践」←これ、…