弁護士ラベンダー読書日記

札幌弁護士会所属・弁護士田端綾子(ラベンダー法律事務所)の読書日記

判例時報2515号 逆転勝訴

広島高裁令和3年2月24日判決 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術中再破裂死亡について、原審棄却→逆転で有責とした高裁判決。術中画像が消去されていたという事情あり。 術中破裂に対して開頭手術で救命できるかのような術前説明をしたことについて説明義…

2022年3~5月まとめ

○井上荒野「あちらにいる鬼」 ○中村圭一「じつは裁判所ってこんな所なんです!」 ○中野信子、三浦瑠麗「不倫と正義」 ○伊藤比呂美、町田康「ふたつの波紋」 かみあわず、掘り下がらず、距離をとって言い合ってるだけでつまんなかった! わたしは朗読の意味は…

山本和彦編著「子の引渡手続の理論と実務」

・審判前の保全処分を債務名義として保全執行する場合の2週間の期間制限について、旧法では執行官による執行着手が求められてましたが、改正により家裁への申立が2週間以内ならよいと解されることになって(とりあえず手元では家庭の法と裁判号外76頁)…

NBL1218号 ビジネスと人権、サステナビリティ

「ビジネスと人権対応のための労務リスクの確認と実務対応」 「サステナビリティの思考と実践」 ・Socialや世間を曖昧に社会全体ととらえず、苦しんでいる個人にフォーカスする

NBL1217号 ダイバーシティ、ESG

「企業におけるダイバーシティと障害者 合理的配慮の現在地と考え方」 ・雇用分野→障害者の雇用の促進等に関する法律(促進法) ・雇用以外→障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(解消法) ・障害者の権利に関する条約 ・差別しない+合理的配慮の…

判例タイムズ1495号 医療訴訟、永代供養

・「東京地裁医療集中部20年を迎えて」 産科医療補償制度によって脳性麻痺の発生件数自体が減っているという指摘。第三者から検証されることが医療現場に緊張を生み出しているからではないかと。つまりは十分に緊張してなかったから発生していたものもある…

判例タイムズ1494号 虚偽主張の制裁

名古屋地裁令和3年10月20日判決 同一の交通事故で相互に請求しあっている件で、虚偽主張(大学の非常勤講師の収入があった→調査嘱託により虚偽と判明)をしていた当事者に、相手方の訴え提起に関する費用を除く訴訟費用全部の負担を命じ、過料の制裁を…

金融法務事情2185号 真実擬制

「真実擬制を認めた裁判例の分析」

二弁フロンティア2022年5月号 紛争論、交通事故

「脳科学から見た紛争解決」 ・不快情動と理屈の記憶を連合させない(相手が怒ってるときに理屈をぶつけない。法律家のサガとしてはすぐ言いたくなってしまうが)。→説得力のある理屈を言うべきタイミングまで取っておく。 ・freeze,flight,fight 闘争状態は…

判例時報2511、2512号 IT化

「特集 裁判手続のIT化のこれから・市民にとって利用しやすい裁判とは」 (上) 綿引長官!!!loveです ・IT化によって審理を充実させようという議論の中できちんと争点整理ができていない現状についての反省も必要。 ・言い分の違っているところをただ…

判例タイムズ1490号 争点整理

田代雅彦「争点整理手続における裁判官の権限と当事者主義~ドイツにおける実体的訴訟指揮・民事訴訟の実体化の議論と対比して」

金融法務事情2181号 内部通報

「特集 改正公益通報者保護法の概要と実務」

金融法務事情2179号 公益通報

「内部通報の実効性を高めるために」

NBL1211号 内部通報、公益通報

「内部通報制度の実効性向上に向けた取組み-法改正を好機として内部通報制度の機能と理想の組織のあり方を考える」

判例タイムズ1492号 裁判実務

「民事裁判手続に関する運用改善提言 現状の問題点を探り、あるべき民事裁判の運用を考える」

こころの科学223号 性非行、カップルセラピー、ナルコティクスアノニマス

・「「性非行」のある少年・少女への支援」 「グッドライフ」アプローチ ・「カップルセラピーは夫婦を危機から救えるか」 葛藤最小化カップル。説得と歩み寄りを避ける。ネガティブ感情についての受容型、無視型。 葛藤関与型カップルには起伏型、承認型。 …

そだちの科学2022号

・養育失調 ・not新しい知識、but新しい考え方 ・治療的な楽観 ・獣医学的発想の少子化対策

友納理緒「裁判例から学ぶ看護ケアと看護記録 看護師から弁護士になった私がもっと早く知っておきたかったこと」

石川寛俊・勝村久司監修「事例から学ぶ「医療事故調査制度活用BOOK」」

家庭の法と裁判37号 成年年齢、無職者の婚費養育費と収入擬制(賃金センサス)、教育費の按分割合・考慮済み額、子の監護者指定等、間接強制、特別の寄与

・特集「成年年齢引下げに伴う影響と対応」 ・東京高裁令和3年4月21日決定 「婚姻費用を分担すべき義務者の収入は、現に得ている実収入によるのが原則であるところ、失職した義務者の収入について、潜在的稼働能力に基づき収入の認定をすることが許され…

小松原織香「当事者は嘘をつく」

「運動と当事者性」について、前にも少し書いたけど当事者性のない運動、支援…弁護士業務も単なるシゴトではなくそれらの性質を帯びる…について。日ごろ取り扱う事象について当事者性なく関わっている者としてはギクリとしながら、何かを突きつけられながら…

こころの科学222号 カップルセラピー

「カップルセラピーは夫婦を危機から救えるか JMゴットマンの観察研究 別れの四重奏」 ・カップル間で自分自身を批判してくる相手に対し、傾聴して応えさせるのは非現実的。カップルに傾聴を促す支援者は間違い。 ・カップルセラピーにおいて怒り反応の抑…

ケース研究343号 面会交流

・発達障がい・知的障がいのある少年による非行の理解と支援-生物・心理・社会モデルと社会資源の活用に着目して- 「未理解同調性」知ったかぶり。対処行動としての ・発達障害のある子について再調停の申立てがあった事例~子の障害の内容や程度に即した…

家庭の法と裁判36号 遺留分、財産分与

・「新たな遺留分制度の概要」 ・大阪高裁令和3年8月27日判決 当事者が開示していない財産分与対象財産が疑われる事情を「一切の事情」として考慮して財産分与額を定めた高裁判決です。夫の不貞で別居、妻は勤務医で相当額の給与収入があったが開示され…

ジュリスト1568号 コンプライアンス

「座談会 変化の時代のコンプライアンス」 ムービングターゲット、リスク以前のissue、ヒューマンフェイス、integrity

2022年1、2月まとめ

○小田雅久仁「残月記」 ○江國香織「ひとりでカラカサさしてゆく」 ○アンディ・ウィアー「プロジェクトヘイルメアリー」 ああ、ロッキー! ○信田さよ子、上間陽子「言葉を失ったあとで」 ○上間陽子「海をあげる」 ○田中慎弥「完全犯罪の恋」 ○金原ひとみ「ミ…

NBL1208号 公益通報者保護

・公益通報者保護法に基づく指針のポイントと企業が留意すべきこと

2021年下期まとめ

○神田橋條治「スクールカウンセラーへの助言100」 ○弘中淳一郎「生涯弁護人」 ○岩本美砂子「百合子とたか子 女性政治リーダーの運命」 ○ヘンリー・ジェイ・プリスビロー「意識と感覚のない世界」 ○メアリー・ジョーンズ「結婚という物語」 ○トールキン「…

判例時報2497号 減胎手術、無断出産

・大阪高裁令和2年12月17日判決 5胎妊娠の減胎手術の注意義務違反による損害賠償を命じた判決(原審は棄却)ですが、注意義務違反=損害(期待権的な?)構成? ・大阪高裁令和2年11月27日判決 無断出産で慰謝料800万円の控訴審は慰謝料500…

判例時報2496号 口頭主義

・浅見宣義「民事訴訟の隅々にまで口頭主義を 民事訴訟で口頭主義を徹底するための基本的提案」(2498号まで) 口頭説明、ノンコミットメントルール、事案説明会。 「天才型審理」「通常人型審理」 「重い/軽い口頭議論」 「予習中心主義」から「授業及…